83: ◆qvIZyIvV7w[saga]
2011/12/14(水) 21:26:26.03 ID:2rtMXBIK0
いくら先輩だとしても、注意しないわけにはいかない。
「ちょっと、廊下は走らないで――」
そこで言葉が止まった。
千歳「……あらら、泣いてはったなあ、今の人」
ぽつりと千歳が呟いた言葉のとおり、私たちの前を過ぎていった上級生は通り過ぎる直前、目許を拭っているのが見えてしまって。
いくら私だって、何かあったらしい人に追い討ちをかけるような言い方はしたくない。
綾乃「……えぇ」
固めていたこぶしをだらんと下ろすと、私は頷いた。
知らない人とはいえ、誰かが泣いているところを見るのは気分が悪い。
それにしても、さっきのがやがやはなんだったのだろう。そう思ってもう一度ふと顔を上げてみたときには、そのがやがやの正体はわからなくなっていた。
ただ、上級生が走ってきた方向の廊下に散らばった生徒たちはみな、こそこそと何かをささやき合っているのが見えただけで。
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