過去ログ - 黒子「……好きにすれば、いいですの」
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660:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)[sage saga]
2012/05/22(火) 02:46:17.83 ID:e7oiSUbqo

(そ、そうよ! あの黒子がここまで気を遣ってくれてんだから! ちょっと買い物行って、で、別れ際に手紙渡すだけなんだから!)

 キリッ、と表情を整えて顔を上げる美琴。

 そうだ。考えてみれば手紙を渡すだけなのだ。

 それも、何度も推敲した言葉を、だ。まともにお礼を言うよりも、ずっと正確で、誤解がない。

(それにアイツのことだから、絶対この手紙で変な誤解はしない! そう! 私は純粋にお礼を言いたいだけで、それ以外のことなんて、ぜんぜんないんだから!)

「……」

 脳裏に浮かぶのは、夕日の公園。

 約束は午後から。

 買い物に行き、それから適当にフラフラとして、おそらくこの公園に戻ってくることになるのだろう。

 それから、渡すのだ。ポケットにある、この封筒を。手紙を。

(……)

 だが、手紙を渡すだけで終わらなければならないことはない。

 手紙を渡して、その上で、何か言うことがあっても、それは美琴の判断によるものである。

 何を、言おうとも。

「ぜ、ぜんぜん、な、ないんだから。べつに、そんな、アイツに伝えたいこと、なんて……伝えたい、なんて……」

 ゆっくりと俯きながら、膝の上で両手の指をモジモジと擦り合わせる。

 制服上着の裾から覗く腕時計が指し示す時間は、午前9時。

 約束は、午後。

 13時から、である。


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