過去ログ - 勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」
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876: ◆3VOBH3KJAk[saga]
2012/02/20(月) 15:30:43.87 ID:T3y4b9Dc0
傭兵はその問いに長い間答えないでいた。

酒場の中は昼間だという事もあり、客は彼等以外に見当たらない。

そんな彼等二人を、店員が少し怯えた様子で見守っているだけだった。

暫くして、傭兵は答えた。

「お前は正しい」

「何」

傭兵の言葉を意外に思った学生は、自分の現状にすぐ気付き、気恥ずかしそうに席に着く。

「お前は正しい事を言った。他の学生達は、多くが貴族の倅だから、能無しだ。現状を壊すまいとして、口を出せずにいる」

傭兵は徐に学生の酒を手にし、ぐい、と全て自身の喉に流した。学生は微動だにせず、次の言葉を待った。

「そりゃ、現状は王族や貴族からしたら、安泰にも思えるものだ。だが、奴等は少し勘違いをしている」

「そうだ。このままの圧政、現法政を敷き続ければ、この国は近く崩壊する」

学生は傭兵の言葉を遮って自分の言葉で続けた。傭兵はそんな学生に頷き、笑いかける。

「やはりお前は先見の明がある。そうだ。現在の中枢の奴等は、近隣の村を見捨て、隣国との友交を蔑ろにし、あまつさえ併呑さえしようとしている」

「そして逆らえば重刑。しかし、それは王一人の意思では無い。そうだろう」

「そこまで理解しているのか。話は早い」

傭兵は満足そうに両頬を口端で持ち上げ、そしてすぐに険阻な表情を浮かべた。

「王の口添役に就いている怪僧。あれが、癌だ」

傭兵の言葉を、学生は生唾を飲みながら聞いていた。

今現在、王の傍には口添役として、ある僧が就任している。

王が悪政に走るようになったのは、その怪僧が就任してからの事である。

王は怪僧の邪教の教えに取り込まれており、正確な判断を下せない状況にあった。

それらが、学生が考えるこの国の悪の根源であり、それらは事実でもあった。

「そう、つまり実権はあの怪僧の手にある、という事だ」


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