過去ログ - 勇者「ハーレム言うなって」魔法使い「2だよっ!」
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889: ◆3VOBH3KJAk[saga]
2012/02/20(月) 15:42:00.82 ID:T3y4b9Dc0






数ヵ月後。

歓声が広場を埋め尽くし、誰もが城の中央のバルコニーを見つめている。

そこには数ヶ月前の憂国の姿形など、どこにも見当たらなかった。

「王、そろそろご挨拶を」

学生の様なあどけさを顔に携えた、しかし今は大臣の様な出で立ちの男が、呼びかける。

その声に、美しい姫が、微笑を漏らす。

「貴方様、そろそろ、お時間ですわ」

「む、ううむ」

巨漢。強健。精悍。威風堂々。

そんな言葉が似合う男が、バルコニーに向かって歩みを進める。

男の様子を見た二人は少し笑い、その男の後を、見守りながら追う。

三人の姿が見えた瞬間、歓声が一際大きくなった。

誰もがその中心を見据え、そして笑顔で迎え入れた。

大臣の様な男が、声高らかに叫ぶ。

「これより!新たなる王の就任式を開始する!」

歓声が、渦を巻いた。誰もが幸せだった。

その男を、心から祝福していた。

「では、新たなる王に、挨拶をして頂きます。静粛に!」

大臣の様な男は、新たなる王に前を譲った。

王は、その場に立ち、ゆっくりと話しはじめた。

「私は、この国を欲しいとは思わない」

誰もが静まり返っていた。誰もが次の言葉を待っていた。

「私は、諸君らと、何ら変わりの無い、只の人間である」

「王族とは、国民であり、国民とは、王族である」

「私は、常にそう思っている」

「人とは、一人では何もできない、無力な生き物だ」

「私は、一人では何もできない。諸君らが、必要だ」

「どうか、力を貸して欲しい」

「私も、この国で生きさせてほしい」

観衆は皆、この男を心の底から肯定した。誰もが、この男で良かったと、震えた。

地面が震える程の祝福の声達が、このかつての憂国を包み、優しい色に変えていった。

大臣のような男は、後方でその様子を見つめ、内心で呟く。

(そうだ。俺は、この方のような王を求めていたのだ)

そして、暫くして。

王はこう言い放った。


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