過去ログ - 俺の妹がこんなに可愛いわけがないSSスレ Part.12
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◆k4qYXRI5uY
[sage saga]
2012/05/17(木) 22:36:21.51 ID:c+4/7Sun0
抉られたように痛む胸を押さえながらあやせに常識を説く。
まぁそんな言葉一つであやせが改心などする筈も無く、数十秒にはまた俺は罵られているのだろう。
俺は変わる事の無い現実にうんざりしながら一先ず会話を打ち切った。
このままくだらない話をしていても事態は一向に進行しない、現実に帰るためには一刻も早くこのゲームをクリアしなければならない。
「ま、とにかくこんな所で駄弁ってても仕方ない。適当に武器屋でも見て回ろう」
俺はそう言うと新たに俺の悪口を吐き出そうとしているあやせを止める様に先に歩き出した。
ゲームでは武器屋というのは街or村には一つしかない、と相場が決まっている。それはここでも同じなのか、いくら探しても一つしか見つからなかった。
見た目は、まぁわりとまともだろう。壁はレンガで、蔦が絡んでいる。それは看板にまで届き、不思議な雰囲気を醸し出していた。
でも、なんだろう、この嫌な感じは。はっきり言って入りたくない。
俺の研ぎ澄まされた危険察知センサーが音だけじゃなく頭の中で跳ね回っていやがる。
冷や汗が背中を伝って流れていく。そんな中、一人、いや、二人空気を読まない奴等が俺の周りにはいた。そいつらは何の警戒も無く扉に近づき開いた。
その瞬間扉からムワァッと甘い匂いが広がってくる。ケーキやお菓子の甘い匂いじゃない、体の芯から溶かされているようなドロリとした甘い匂いだ。
顔を顰めるとバックステップでこの場から離れようとするが、生憎遅かったらしい、野太い腕がいきなり生えたと思ったら俺達は全員捕まっていた、おっさんに。
「あらぁ、うふふ、可愛い御客様ね。あっちの部屋で一緒に遊ぶ〜?」
「「「結構です!!!」」」
三人同時に断りを入れる。
こんな所でモンスターに遭遇するとは。予想外にも程がある。
「あんっ!!? なんか言ったかごら」
なんで俺の考えはすぐにバレルのだろう? 俺は首を引き千切れんばかりに左右に振りながら泣きそうになるのを堪えた。
とりあえず放してもらおう、と言う事で俺は勝手にドアを開いた赤城(あやせはエンジェルなので除外)にアイコンタクトで「どうにかしろ」と言った。
赤城は自分でも責任を感じていたのだろうか? わりとすんなりと頷いた。
「あ、あのぉ、すみません。俺とその女の子はちょっと通りすがっただけなんで、もういいですか? 扉を開いてたのはそこのお兄さんなので」
………畜生。その手があったか。
「あら? そうなの。それじゃぁしょうがないわね、二人共私の好みだったんだけど……」
残念そうにそう言うとおっさんは赤城とあやせを放した。
赤城はあやせの手を取ると半ば急ぎ足で歩き出す。だがその歩みは、何故だか知らないが途中で止まった。
なにやってんだ? さっさとあやせ連れて逃げろやこら。そんなとこで立ち止まってんじゃねぇよ、もっと遠くへ行けよ。
そんな事を考えている俺の気も知らないであやせがこちらに再び走って戻って来るじゃないか。
なーにやってんだ赤城ぃ!! ちゃんとあやせ逃がせやぁぁぁああ
心の中で絶叫するも、現状が変わる事は無くあやせは俺とおっさんの所まで来てしまった。くそぅ、あやせ、分かってんのか? こいつは両刀使いなんだぞ? どっちでもいけちゃう変態なんだぞ? お前の処女は俺が頂く予定だったんだぞぉぉぉぉ!!?
「あっ、手が物凄い勢いで滑っちゃった!!」
「へぶぁっ」
あやせは手が滑って俺の鳩尾と脛と顔面に往復ビンタを下さってくれた。
畜生。
痛みでエビみたいに背を反らせてビクンッビクンッと俺が飛び跳ねているとあやせが今さっきのやり取りをまるで無かったかのように話を切り出した
「あぁっ、お兄さんっ! 大丈夫ですか!? そこのあなた、なんて事をしてくれたんですか! お兄さんがまるでエビみたいになっちゃったじゃないですか!!」
「あたしのせいなの!!?」
「もうお前らは黙ってろ!!」
おぉ、流石赤城、俺に今なにが必要か分かってくれているらしい。
そう、俺に今必要なのはあやせの責任追及じゃない、治療だ。
赤城は俺に近づくとビクビクと痙攣し始めた俺の体にちょっと触った。ちょっと間考える仕草をした後、赤城はドヤ顔をすると大きく宣言した。
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