過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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468: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/10/05(金) 00:26:22.10 ID:pcQh2Egxo



***



『あんたら何考えてんだ!? 絶対イカれてる!!!』

『あぁ……何も反論できねえよ』

耳に当てたケータイから浜面とパイロットの声が聞こえてくる。

風が強い。夕日が眩しい。
身を切るような冷たさが全身を襲う。
ビュービューという強い風の音と、バララララというプロペラが回転する音がうるさく聞こえる。

現在、ヘリからは災害救助用のハシゴが降ろされている。
そして上条は外に出て、そのハシゴにぶら下がる形になっていた。

ヘリでの着陸ができないのなら、ハシゴを降ろしてある程度の高さから飛び降りるという作戦だった。
浜面は以前にもヘリから飛び降りたことがあるらしい。その時は下にクッションがあったようだが。

だが、いよいよ常盤台中学のすぐ近くまで来て、作戦を変更することになった。
校舎の上層部、外に面した壁がガラス張りになっているやたら豪華な空間に居るとある人物が目に入った。
全ての黒幕であると思われる、食蜂操祈の姿だ。

上条はケータイから浜面達に話しかける。
直接声を張り上げても、ここからではプロペラの音でかき消されてしまうからだ。

「いいぞ、やってくれ!!」

『しょ、正気か!?』

『諦めろ。コイツは一度決めたら曲げねえ』

『くっ……死んでも恨むなよ』

「あぁ、任せるぞ」

上条がケータイをたたんだ瞬間、一旦ヘリが急に学校から離れる。
そしてその直後、今度は急に学校へと接近する。

この動作で何がしたいのか。
それはヘリから降ろされたハシゴを見ればすぐ分かるだろう。
ヘリが一度学校から離れた時、ハシゴはヘリと共に学校から離れる方向へと流れる。
そしてその後ヘリが再び学校へ近づくように動いた時、ハシゴの方は慣性の法則によりヘリの動きについていかずに、そのまま学校から離れる方向へと流れ切る。

ハシゴはその後どうなるか。
要は振り子だ。
糸がハシゴで先端についた重りが上条。
学校から離れ切ったハシゴは、その後弧を描いて学校に向かって急接近する。

ゴォォォォ!!! と風を切る音が耳元でうるさく響く。
だが、それも今の上条には気にならない。
耳の奥ではドクンドクンと、緊張で血液が循環する音がよく聞こえる。
一歩間違えれば死ぬ。上条はそんな状況に居る。

ガラス張りの壁が近づいてくる。
ここで上条はベルトから銃を抜く。麦野からもらった演算銃器(スマートウェポン)だ。
躊躇わずにドンドンッ!! と連続で引き金を引いた。
銃弾は真っ直ぐガラス張りの壁に直撃し、ビシィィ!! とヒビを作る。

予想通りだった。
常盤台のガラスだ。おそらく頑丈なものだとは予想していた。
普通の銃だったらここまでヒビを作る事なんてできなかっただろう。

ヒビだらけになったガラス張りの壁がどんどん目の前に迫ってくる。
上条は歯を食いしばり、右足をハシゴから外して思い切り突き出す。


「うおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああ!!!!!」


ガッシャーン!!!!! とけたたましい音が鳴り響いた。
振り子のようなハシゴの勢いを利用した蹴りは、ヒビの入ったガラスを砕き上条は部屋の中へ転がり込む。
多少足がズキズキするが、普通に立てる。ちゃんと生きている。
 


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