過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
1- 20
491: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/11/25(日) 02:14:03.80 ID:VBYVP1jFo

(水流操作か!!)

浜面は横へ跳んで水を避ける。
後ろへ通りすぎていった水は、Uターンをして再びこちらを狙ってくる。
しかも、途中でそれは二つに分裂して、それぞれ別の動きで突っ込んできた。

(水流操作系の能力者は、操れる水の塊の数に制限がある。となると)

浜面は努めて冷静に状況を把握する。
今までの経験から、水流操作系能力者が操れる水の数は最高でも二つだった。
念動力(テレキネシス)で操る物質と違って、液体は変形しやすいので演算も高度になるのだ。

向かってくる二つの水の蛇をじっと観察する。
そして浜面はそれらを上手く体をひねってかわしていき、同時に走って湾内達の方へ向かう。
時には屈んだり、時には頭を下げた状態で横に回転するようにジャンプしたり、まるでブレイクダンスのような動作で水を避けていく。
スキルアウト時代は無能力者狩りをしていた能力者と戦ったことも沢山あった。
その中で、こうしたポピュラーな能力者相手への対処は体に刻み込まれている。

後少しで湾内達まで辿り着く。
さすがに銃で撃つような真似はしない。
それでも、頭を打って気絶させるくらいは許してもらいたい。

頭の中では相手を気絶させる手順を考え始める浜面。
しかし、その時。

浜面の頭を、水の塊が後ろからすっぽりと包み込んだ。

「ごぼっ……!!」

浜面は混乱する。
確かに二本の水の塊には注意していたはずだ。
それにも関わらず、全くの死角から三つ目の水の塊によって攻撃を受けてしまった。

そこで気付く。
なぜ相手が操ることができる水の数を二つまでだと決めつけたのか。
答えは単純、それが今までの相手の中ではそれが限界だったからだ。

そして改めて考えてみる。その中にレベル3以上の水流操作の能力者はいたか?

浜面はそこまで考えることができなかった。
レベル3である湾内は、四つの水の塊を操る事ができる。

「がぼっ……ぐぼ……ぼ……!!」

頭だけ水の中に入っているという奇妙な感覚の中で、辺りは水族館の水槽の中のようにぼんやりと歪んで見える。
実際は浜面の頭の周囲だけが水族館の水槽のようになっているのだが。
反射的に腕を使って頭を覆う水の塊を何とかしようとするが、どうしようもない。
腕はただ虚しく水を突き抜けるだけだ。液体を直接掴むことなんてできない。

浜面は必死に考える。
こうなった場合、どうしたら良かったか。
水流操作能力者と戦う時は、当然こういった状況への対処も考えられていたはずだ。

そして、浜面は思い出した。
その直後、すぐに湾内達から遠ざかる方向に走りだして、廊下の一つ目の角を曲がった。

水流操作に限らず、大体の能力は自分の目で見て対象を操る。
つまり、相手の目の届かない位置まで行ってしまえばこの頭を覆う水の制御も解除されるはずだ。
浜面は息苦しさを感じ始めながらも、足を動かして前へ進む。
角を曲がったことで、もう湾内からはこちらの姿は全く見えないはずだ。
これですぐに能力は解除される、そう思った時。

隣で並走する泡浮万彬に気付いた。

「ッ!!!」

浜面は目を見開く。なぜついてこれる。
普段からそこらのアスリート並みには鍛えていたので、運動能力に関してはそこそこ自信はあった。
少なくとも、温室育ちのお嬢様に駆けっこで並ばれるなんて事にはならないはずだ。

しかし、ここで浜面は気付く。
そもそも、そうやって体を鍛えていたのは何のためだ。
無能力者が能力者に対抗するためではなかったか。
 


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/1634.09 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice