過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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512: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/11/25(日) 02:33:38.58 ID:VBYVP1jFo



***



「ぇ……ぁ…………」

滝壺の洗脳が解かれた頃。
食蜂操祈は強烈なめまいに頭を押さえてよろけていた。
何が起きたのか理解できない、理解したくない。

今までこんなことは一度もなかった。
このレベル5の洗脳能力は完璧だった。それが破られた。
それも幻想殺しといったイレギュラーなものによってではない。
一人の何の能力も持たないレベル0の者の言葉によって、操っていたはずの人間が自発的に洗脳から脱出したのだ。

「ぁ…………ぁぁあああ…………!!」

周りが見えない。
上条当麻は近くに居るのに、そちらに集中することができない。
足元がおぼつかない。
まるで大地震が起きているかのように、真っ直ぐ立っていることができない。

ありえないありえないありえないありえない。
頭の中ではぐるぐるぐるぐると同じ言葉が何かの呪文であるかのように巡り続ける。
それでも、現実は少しも変わらない。
自分の能力が何の能力もなしに破られた。その絶対的な事実が重い石になって自分を押しつぶそうとしてくる。

「――――!!!」

上条が何かを話している気がするがどうでもいい。
いや、気にしている余裕がない。
どうすればいい。
どうすれば自分はこの世界に留まることができる。

認めない。認めるわけにはいかない。
この能力は、レベル5の「心理掌握(メンタルアウト)」は。
自力で解けるようなものであってはいけない。


「……そうよ」


光が見えた気がした。
そういえば、先程までここには風斬氷華というイレギュラーな存在が居た。
彼女は自らの存在を犠牲にすることでAIM拡散力場に変化を加え、この能力に干渉しようとした。
結果的にそれは成功し、その僅かな変化と黒い翼の覚醒によって一方通行の洗脳が解かれるという結果になった。

それならば、他に操っている者にも影響がでるのは別に不思議ではないのではないか。

「あの……風斬氷華のせいよ!!! 私の能力が何もなしに解けるわけない!!!」

「何を言ってんだ……?」

「あは、あはははは……そうよ……そうよ…………っ!!!」

光が戻ってきた。
もう周りが見える。音も聞こえる。
上条が怪訝な目で、インデックスが不安そうな目でこちらを見ているのが分かる。
何も取り乱す必要なんてなかった。
よく考えればそこには理由があって、自分の信じたものは少しも揺らいでいないという事が分かる。

食蜂は再び笑みを浮かべる。
いつもの、女王らしい余裕たっぷりの笑みを。

「ふふ、ごめんなさぁい。ちょっとこちらでアクシデントがありましてぇ」

「アクシデント?」

「えぇ、御坂さん達の方を任せている滝壺理后が私の洗脳を解いちゃいましてぇ。
 まぁどちらにせよ彼女達は大勢の常盤台生に囲まれている状況ですので、大きく事態が好転したとは言えないですけどねぇ」

「……随分余裕だな。これでお前は一方通行を止められる駒を失ったんだぞ」

「ですから、第一位さんに対抗する駒なら目の前にいるじゃないですかぁ」
 


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