過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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533: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2012/11/28(水) 00:26:00.78 ID:NuCo0RDNo



***



ガタンガタンと一定のリズムで振動が伝わってくる。
学園都市の電車は揺れがほとんどないので、こういうのは新鮮に感じた。

上条達は四人がけの椅子に座っていた。
上条の向かいにはインデックス、インデックスの隣に美琴。
そして上条の隣には食蜂が座っている。

この席順には美琴がなにか不満そうだ。
それを見て食蜂がおずおずと口を開く。

「あの……御坂さん?」

「なによ」

「えっと、もし良かったら席替わりましょうか……?」

「なっ、いいいい、いいわよ!! ったく、変な気回さないでよね」

「気を回す? 何言ってんだ?」

「アンタには関係ない!!」

「そ、そうかよ」

「短髪もとことん素直じゃないんだよ。とうまの鈍感具合も相変わらずだけど」

「アンタも余計な事言わない!!」

何やら勝手に盛り上がっている美琴。
だが上条はそれを見ても、「旅行でテンション上がってるのかなー」程度にしか思わない。
普通ならすぐに気づかれてもおかしくないのだが、相手が上条だからこそこんな面倒なことになっているのだろう。

それから美琴は自身を落ち着かすように大きく息を吐くと、食蜂に話しかける。

「そういえば、アンタ派閥解体したみたいじゃない。結構大騒ぎになってるみたいよ」

「……えぇ」

「派閥ってなんだ? 友達の集まりみたいな?」

「どっちかっていうとサークルに近いわね。
 それなりの力を持つ派閥とかは企業とかとも提携してて、学外への影響力も強いのよ」

「ふーん、短髪もその派閥っていうのに入ってるの?」

「いや私はそういうの興味ないし。ただ食蜂の派閥は学内で最大の派閥だったからこれだけの騒ぎになるのよ」

「だって、可哀想じゃないですか」

食蜂はポツリポツリと言葉を紡ぎ始める。
その声はとても小さなもので、電車の振動音にかき消されてしまいそうだ。

「あの子達にだってそれぞれ自由に繋がりを作る権利はある。
 それなのに私みたいな人に無理矢理縛られるなんて……そんな権利は私にはないじゃないですか」

「もはや別人ねアンタ。前まではむしろ相手を自由に動かすのを楽しんでたじゃない」

「はい。以前まではこの世に本当の絆なんてない、それなら私が擬似的にでも作って問題ないと思っていましたから」

「……何かあったのか?」

上条の言葉に、食蜂は黙り込む。
おそらくあまり言いたくないことなのだろう。
もう少し待って何も言わないようだったら聞くのは止めておこう、そう思った時。

次第にその口が小さく動き始める。
 


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