過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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617: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/04/19(金) 23:08:43.52 ID:nvGs0I5wo

それからまた少しの沈黙が流れる。
そのまま何も言わずに、再び食蜂は上条の肩に頭をコトンと乗せた。

上条は少し驚いて、そちらに顔を向ける。
彼女は気持ちよさそうに目を閉じていた。夕陽がその綺麗な金色の髪をより一層輝かせている。

「……上条さんみたいな人はとても珍しいと思います」

「そうか?」

「えぇ。だって大多数の人は一度裏切られた相手にここまで構ってなんかくれませんよ」

「あー、そういや前にバードウェイから『イカれてる』とか言われた事あったっけな……」

「ふふっ、確かにそうですね」

「そこは一応否定してくれよ」

「いいんですよ、ちょっとくらいイカれてくれていた方が。私にとってはね」

「そうなのか?」

「えぇ。だって、まともな神経の人が私と一緒に居られるはずがないんですから」

そんな事を平然と話しながら、食蜂はさらに頭を上条の肩に擦り付ける。
それはまるでじゃれつく猫のようで。
きっとここまで甘えられる相手が今まで居なかったんだろうと、上条はぼんやりと考え少し寂しい気持ちになる。

彼女はゆっくりと目を開けた。
キラキラと輝く瞳は、真っ直ぐこちらに向けられる。

ただ風の音だけが時折聞こえる、夕暮れの空の下。
二人の間に言葉はなく、その視線だけが交差している。

そして、次第にその距離は縮まっていき――――。


「 だ か ら 何 で そ う な る」


ガシッと、上条の左手が食蜂の頭を押さえた。
昼間と同じような光景。

だが、今回はそれだけで済まなかった。


「えいっ☆」


ピッという電子音を聞いた時は手遅れだった。
食蜂の頭を押さえていた左手はダランと力なく下ろされてしまう。
おそらく頭から送られる信号を弄られて、左手を動かせなくさせられたのだろう。

「ぐっ、残念だったな、俺にはこの幻想殺し(イマジンブレイカー)が……ッ!!」

「ふんっ!!」

ガシッと右腕を両手で力いっぱい押さえつけられた。
元々位置的に食蜂は右隣に居たので、上条からすれば不利だ。

「いっ!? お、おい、待てって!!!」

「んー……」

「よ、よし、じゃあ頬!! 頬にしろって!! おい聞いてんのか!?」

上条の言葉を無視して、食蜂の顔がどんどん近付いてくる。
このままいけば確実に唇コースだ。
その後もろもろの展開を考えるに、それだけは何としてでも避けなければいけない。
だが、この絶体絶命な状態を打破する手段が思いつかない。


彼女の柔らかそうな唇が迫ってくる。
そして上条が諦めかけたその時。


「何やってんのよアンタらァァああああああああああああ!!!!!」




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