過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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655: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/05/15(水) 15:19:58.73 ID:51CZBCmfo

「確かにインデックスさんの選択が正しい保証なんてどこにもない。でも、だからってあなたの考えが正しいとは言えないと思うけどぉ?」

「それは」

「そもそも、この件で関係あるのはインデックスさんと上条さんよぉ。
 私達はアドバイス程度に口を挟むまではいいにしても、意見を押し通す事なんでできないんじゃなぁい?」

「…………」

食蜂の言葉に、美琴は反論できずに黙りこむ。
「インデックスが上条に告白しない事に決めた」。その事に自分はどれだけ関係しているのだろうか。
完全に無関係というわけではない。美琴も上条を想う一人だ。
とはいっても、それが彼女の行動を制限するだけの理由になるのだろうか。

例えば逆に「インデックスが上条に告白する事に決めた」とする。
それを今のように美琴が反対してやめさせる権利があるか。

食蜂の言う通り、美琴は自分の意見が絶対に正しいとは思えない。今までだって何度も間違ってきた。
特に今回のようなどれが正解なのか難しい選択で、確実に正しい選択をできると考えるのは傲慢というものだ。
客観的に見て、当事者であるインデックスがよく考えて出した結論のほうが正しい可能性が高いと言えるはずだ。

食蜂は真剣な表情を崩し、小さく溜息をついて、

「そもそもぉ、御坂さんはそんなにインデックスさんに告白させたいのかしらぁ?」

「え、いや、そういうわけじゃ……」

「それならいいじゃなぁい。聖人君子気取って自分の不利益に関係なく正しい事をしようとするよりも、自分にとって得になることを優先するほうが中学生らしいわよぉ?
 私達にとっても、インデックスさんがこのまま上条さんと何も進展せずにイギリスに行ってくれたほうが良いんだしぃ」

「……ねぇインデックス。どうしてそう決めたのか教えてくれない?」

美琴がそう尋ねると、インデックスは一度頷いてからつらつらと話し始める。
例え告白が成功したとしても、失敗したとしても、遠隔制御霊装に不具合が出る可能性があること。
そしてもしそんな事になってしまったら、自分の立場が危ういことになってしまい、それによって周りにも迷惑をかけてしまうこと。
その周りというものの範囲も巨大で、魔神レベルの力を繋いでおく鎖が無くなってしまうと、世界全体に影響を与えてしまう可能性もあること。

美琴はそれを一字一句逃さないようにしっかりと聞き取る。

「――ただでさえ、今は魔術と科学の関係が微妙なものになっているんだよ。だから、私はそこに巨大な波風を立たせたくない。
 私一人のワガママに多くの人達を巻き込むわけにはいかない。それはきっと、私もとうまも不幸にする」

「だから……アイツを諦める、か」

美琴はその意味を吟味するように口の中で呟く。
彼女の言い分は分かる。おそらく、それが一番多くの者が幸せになるであろう方法であることも。
しかし、美琴にはどうしても納得することができない。ここで自分が納得しようがしまいが関係はないのだが。

……ところが、インデックスはキョトンとした表情で美琴を見る。

「別に私、とうまの事諦めてないよ?」

「……へ?」

彼女の言葉に、美琴は何とも間抜けな声を出してしまう。
先程からの彼女の話を聞き流している様子だった食蜂も、急に意識を覚醒させてそちらを見る。

「えっとね、“今は”告白しないっていう事なんだよ。魔術と科学の関係がもっと安定して、また一緒に暮らせるようになったらその時告白するっていうこと」

「な、なんだ……そうなんだ……」

美琴は少し気が抜けた声を出した。
ずっと張り詰めていた空気がどこか緩んだ気さえもする。
インデックスは上条を諦めたわけではない、彼女は彼女なりの作戦を持って上条を狙っている。

それならいい、と美琴は小さく息をつく。
相手に戦う意思があるというのであれば、こちらとしても思う存分挑めるわけだ。



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