過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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664: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/05/15(水) 15:27:17.66 ID:51CZBCmfo

「ね、ねぇ、何黙ってんのよ。何か言ったら――」


「――――ぐぅ」


ビキィィ!! と美琴の額から精神衛生上大変よろしくない音が鳴った。
原因はもちろん自分の膝の上にいる男だ。

上条は見事に寝ていた。それはもうグースカと。

それも仕方ないだろうとは思う。
旅行には朝から出発して、着いた先でも食蜂に振り回され、しかも酒も入っているとなればこうなるのは不思議ではない。

しかし、なぜこうも絶妙なタイミングで寝れるのだろう。もはやわざとやっているようにしか思えない。
これではどこまで聞いていたかも不明だ。それでも、まぁ、美琴の「アンタを男として見ている」というのは聞いていないだろう。
美琴の勇気を振り絞った行動は、ものの見事にスルーされ徒労に終わった。

これは流石に一発入れるくらいの権利はあるんじゃないか。
そうやって美琴は右拳を握りしめ、更にそこにバチバチと電気をまとわせる。特性かみなりパンチだ。

「こんの――!!」

その腕を振りかぶって、止まった。
自分の膝枕でぐっすり寝ている上条は、無防備に眠りこけていて、なおかつ仰向けなのでその顔がよく見える。

端的に言って、美琴はその寝顔に見とれていた。

人の気も知らないで幸せそうに眠りこけるその表情は、彼女の胸をギュッと掴む。
美琴は声も失い、そのいつもと違う無垢な表情をじーっとしばらく眺めてしまう。

(……こ、こう見ると結構可愛いかも)

彼女の頬には赤みが差し、ぽーっとゲコ太を見る目に似てくる。いや、もしかしたらそれ以上に熱っぽいかもしれない。
その視線は次々と上条の顔のパーツへ向けられ、とある一点で固定される。

ずばり、唇だ。

「………………」

ゴクリ、と喉を鳴らす。
その後キョロキョロと辺りを見渡し、誰もいない事を確認する。

(い、いい……かな……?)

そろーっと、片手で自分の髪を抑えながら、本当にゆっくりと顔を上条の元へと落としていく美琴。
これでは食蜂の事を言えないのではないか、という疑問が頭をよぎるが、すぐに追い出す。

(別にキ、キスだし、欧米とかだと普通に挨拶程度に使われるし! だ、だから食蜂とは違う!)

そんな風に自分に言い訳しながら、美琴は更に顔を落としていく。
これは大チャンスだ。色々考えたファーストキスのシチュエーションもいつの間にか頭から消え、とにかく上条とキスできればいいという考えに変わっていく。
いや、もしかしたら先程のタコ顔よりかはマシだという感覚があるせいなのかもしれない。

とにかく、美琴はただ上条とキスしたい一心で顔を近づける。
目はトロンとして、ぼーっとした表情のまま、彼女は自分の本心に忠実に行動する。もはやいつもの理性というものが無くなっている。

そして、上条の唇まで後数センチ。相手の寝息が口元にかかるくらいになって――――。


「おい、上条を回収しに来たンだけどよォ」


ガチャ、とノックもなしに入ってきたのは一方通行だった。



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