過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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667: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/05/15(水) 15:29:46.22 ID:51CZBCmfo

一方通行はインデックスの言葉にはまともに取り合わずに、お返しとばかりに、

「それはオマエにも言えるだろうが。上条と一緒に居る時はやたら浮かれてるのが丸分かりだ」

「うん、だって私とうまの事好きだし」

「…………」

一言で封殺されてしまった。
何の恥じらいもなく当たり前のように言える辺り、自分が嫌に子供っぽく思えてしまう。

そういえば、と一方通行はとある事を思い出す。

「オマエ男部屋を盗撮したとか言ってたよな?」

「なんだかその言い方だと私が主犯みたいかも。主犯はしずり、共犯ははまづら。私はたまたまそこに居合わせた無関係の人なんだよ」

「そこはどうでもいい。つかこっちからすればオマエも十分共犯だっつの。
 要は、上条がオマエの事をどう言ってたかも聞いたってことだよな? 内容はオマエがやけ酒するようなものだったはずだが」

「んー、まぁ」

インデックスは困ったように笑うと、視線を斜め上に持って行って少し考える。
次の言葉が出るまでしばらくかかるかとも思ったが、案外すぐに彼女は言葉を紡ぎ始める。

「とうまが私のことをどんな風に思っているかは何となく分かっていたからね」

「だから仕方ないってか」

「納得はしてないかも。とうまにはいつか私のことをきちんと女の子として見てもらえるようにしてみせるんだよ。
 だから、現時点でそういう状態だったとしても、それで極端に落ち込むって事はないんだよ。正直少し残念っていうのはあるけどね」

「いつかって言うほど時間ねェだろォが。明々後日にはイギリスだろ、なら悠長に構えてる暇なンかねェンじゃねェの?」

「……私にも色々あってね。こっちにいる間にとうまに告白するのはやめたんだよ。何年後になるかは分からないけど、またとうまに会えた時に言おうってね」

彼女の言葉に、一方通行は目を細める。
しかし、それだけだ。彼はそれ以上追求してくることもない。告白する事をやめた理由も聞いたりはしない。
それは彼らしいもので、必要以上に他人に干渉するつもりがないスタンスをよく表している。

一方通行は手を首の後に回し、ソファーの背もたれに体を預けながら、

「オマエも余裕なモンだな。そンだけ時間が空けば人ってのはいくらでも変わる。
 あの上条だってどっかの女とくっついてベタベタしててもおかしくねェだろ。それでも、オマエはアイツが変わらず待っていてくれるとでも思ってンのか?」

「…………」

インデックスは笑顔のまま、少し顔を俯ける。
その様子はとても儚く見え、一方通行でさえもどこか美しさというものを感じるものだった。

彼女にとって痛い所を突いた自覚はある。だが、これはハッキリさせておかなくてはいけないことだと一方通行は思っていた。
いざ上条と再会した時に、少しの覚悟もしていなければそれは大きな傷になる。

インデックスは顔を上げる。
その表情はやはりどこまでも暖かく、見ているこっちが癒されるものであった。

「何年経っても、とうまはきっと私のことを大切に想ってくれるんだよ。それは私も一緒」

「随分な自信だな。どンな女でも相手にならねェってか」

「……ううん、違うよ」

「はァ?」

「次にとうまと会った時、その隣に別の女の子が居るかもしれないっていう事は分かっているんだよ。その子がみことなのか、みさきなのか。それとも私の知らない他の誰かなのか。
 そこまでは分からないけど、とうまが誰とも付き合わないなんていう確証は持てるはずがないんだよ。あ、これはみことには内緒ね」

その笑顔とは裏腹に、言葉は重く切ないものだった。
一方通行は念を押すように、静かでいながらハッキリとよく通る声で尋ねる。

「それでいいのか?」



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