過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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669: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/05/15(水) 15:31:13.85 ID:51CZBCmfo

なぜ急にそんな話を振ってくるのか疑問に思い、一方通行は振り返りながら怪訝な声を出す。
そして、そういえば男部屋は盗撮されており、先程の会話も女子には筒抜けだという事を思い出して納得した。

それを考えれば、当然彼女には色々と言いたいことがあるだろう。
こうして比較的まともに話している二人だが、過去にあった出来事はとても水に流せるほど軽いものではない。

真剣な表情でこちらを見据える美琴に対し、一方通行は自嘲気味に小さく笑い、

「笑いたきゃ笑えよ。それとも俺にそンな資格があるわけねェって怒鳴りてェか?」

その言葉に、美琴は疲れたように溜息をつくと、

「どっちでもないわよ。まぁ、確かに私はアンタの事が許せない。例えあの子達がアンタを許したとしても、私は絶対に許さない。
 実験のきっかけを作った私もそうだけど、アンタだって一生罪を背負わなきゃいけないのよ」

「言われなくても分かってる。それに、オマエはあのガキの側に俺が居ることも許せねェってわけか」

「違うわよ」

「あ?」

すると美琴は視線を横に泳がせながら、どこか言いたくなさそうな様子で、

「あの子がアンタと一緒にいて凄く幸せそうなのは知ってる。それなら私は特に口を挟んだりはしないって言いたかっただけ。
 まぁ、元々私の言い分なんてアンタにとってはどうでもいいかもしれないけどさ」

「…………」

美琴の言葉に、一方通行は黙りこむ。
妹達(シスターズ)のことがあって様々な面で考え方を変えていった一方通行だが、それは彼女も同じだったようだ。
前へ進んでいるのは彼女もそうで、何よりも妹達の幸せについて考えている。だからこそ、打ち止めを一方通行に任せる事にしたのだろう。

一方通行は小さく舌打ちをすると、

「オマエの言い分がどうでもいいわけねェだろ。オマエが居なければあいつらは生まれてこなかった。それに」

ここで一瞬彼は言うべきかどうか迷い、一瞬間を置く。
だが、ここまで言ってしまったのなら同じことだと、最後まで言い切ることにした。
少し前の自分だったら絶対に言わないような事だとは自覚している。


「オマエはあいつらの姉だろうが」


「え……」

美琴は目を丸くする。
それだけ彼の言葉が意外なもので、今までの彼のイメージからはかけ離れたものだったからだろう。

そんな彼女に対し、一方通行は忌々しげな表情でクルリと背を向けて歩き出してしまう。

「俺は珍しく酔ってる。今の言葉は忘れろ」

「……分かったわよ」

彼女の言葉がどこか丸みを帯びていて笑っているような気がしたが、わざわざ振り返って確認しようとも思わなかった。



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