過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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695: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/06/27(木) 14:29:46.60 ID:g9sjJPBmo

「いいじゃん、いいじゃん! 俺達結構うめえよ? スノボはもちろん、他のこともさ!」

「ぎゃはははははは!! 真昼間から何言ってんだよこの子達引いちゃってんじゃねえか!!」

「うるせー、そういう意味じゃねえよバーカ! ごめんねー、コイツ変態でさ。もちろん俺はそんな事ないよ?」

「まぁまぁ、こんな奴等放っておいて、俺と遊ぼうぜ。初心者なら優しく丁寧に教えるからさ」

「あ、おい抜け駆けしてんじゃねえよ、お前が一番女で遊びまくってんじゃねえか! 聞いたぜ、また最近でき」

「おい、やめろっての! あはは、ごめんごめん、コイツ冗談が好きでさ」

「とにかくさっさと滑ろうぜ! せっかくゲレンデに居るんだし!」

「あ、あの……」

相手の女の子達は明らかに嫌がっている様子だ。
無理もない。離れて聞いている垣根ですら、あまりの低俗すぎる会話に顔をしかめる程だ。
しつこい男は嫌われる。ナンパにおいて引き際というものは大切だ。

「……ったく」

垣根は面倒くさそうにそちらへ歩いて行く。
別に助ける義理はない。女の子達はどちらも初対面だ。
だが、まともな人生を志すことにした垣根にとっては、こういった所で“良い事”をした方が良いと思ったのだ。

垣根はしゃがみ込んで手で雪を掘る。
そして、それらをギュッギュッと押し固め、手頃な雪玉をいくつか作った。
用途はもちろん、

「だから早く行こーって。ほらほら」

「やっ、は、離してください……」

「そんな事言わずにさ! 絶対楽しいか――ぶほっ!?」

「ごぼっ!?」

「ぶっ!!!」

見事命中。
垣根が美しいフォームで投げた雪玉は、三人の男のそれぞれの顔面に直撃した。

そしてキラリと白い歯を見せて一言。


「よう、そんなに遊びてえなら、俺に付き合えよ」


決まった。
そう思った次の瞬間には、男達が怒りの形相でこちらへ突っ込んできていた。


「「テメェェえええええええええええええええええええええ!!!!!」」


それに対し垣根はあくまで余裕の表情を崩さず、ヒュウと小さく口笛を吹いてクルッとボードを回転させ滑り始める。
すぐにスピードがつき、冷たい風が耳元でビュンビュンと鳴り、頬を撫でる。周りの風景がどんどん置き去りにされていく。

チラッと後ろを見てみると、男三人はしっかり追いかけてきていた。
自分で結構上手いというだけあって、腕はそれなりにあるらしい。それでも、別段驚く程というわけではない。
とはいえ、追いつかれるという事はないだろうが、このまま下まで降りきってしまうと自然とスピードはなくなってしまう。
その前にケリをつけるのが得策だろう。

垣根はガッとボードを逸らしてコースを外れる。先には葉を全て落とした裸の木が並ぶ林。
普段人が利用しているコースではないので、柔らかそうな新雪が続いている。

(能力が使えればこんな面倒な真似しなくていいんだけどな。まっ、そこは愚痴っても仕方ねえか)

いずれにせよ問題ない、と垣根は口元に笑みを浮かべる。
例え能力が使えないとしても、今まで暗部組織のリーダーを務めていた男だ。その辺のチンピラ三人くらいに遅れを取ることなどありえない。

垣根とそれを追う男達は、かなりのスピードで木々の間を縫って進んでいく。
雪もそれなりに降っていて視界も悪いので、途中で勝手に木に激突でもしてくれればとも思ったのだが、そこまでギャグ精神旺盛なわけでもないらしい。



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