過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2013/07/16(火) 17:41:24.90 ID:wF64hV+jo
***
あの後、崖から引き上げられた上条とインデックスは、駆けつけた例の少女とその両親に何度も謝られた。
上条達は「謝る必要なんてない」という事と、「仲直りできたようで良かった」と伝えると、少女は眩しい笑顔を見せてくれた。
側に居る両親もバツの悪そうに苦笑いを浮かべており、そんな光景は見ているだけで胸が暖かくなった。
上条とインデックスは、自分達の事を探してくれた者達に礼を言うが、返ってきた言葉は気にしなくていいという事だった。
ただし、一方通行、垣根、浜面の三人は酷く顔色を悪くしており、何でも麦野と誰が一番早く上条を見つけられるか勝負していて見事に負けてしまったらしい。
確かに、上条達を見つけた美琴と食蜂はすぐに麦野と合流したので、その四人の中で一番早く見つけたのは麦野ということになる。
それから一、二時間程滑ったらすぐに夕暮れだ。
結局、インデックスは上条の腕を超すことはできず、食蜂もあまり上達しなかったが、それでも何だかんだ夢中になっていたので良かったのではないかとも思った。
夜になって宿に戻った一行は、温泉に入って夕食も済ませて、後は寝るだけになる。
だが、もちろんこのまま静かに夜が更けていく事などない。
麦野なんかはどんな罰ゲームを考えているのか、凄まじく上機嫌であり、それを見た一方通行達は本気で絶望しているように見えた。
そんな中で、インデックスだけは眠気が襲ってきたのか、目をこすって部屋に戻ってしまう。まぁ、今日も早起きして昼間はトラブルにも見舞われたので無理もない。
しかし、同じく今日は早く目が覚めてしまった上条は、とても眠る気にはなれなかった。
今は一人で二階のロビーにあるソファーに座って、ぼんやりと窓の外を眺めている。雪は若干勢いを減らしたが、それでもまだまだ降り続いている。
モヤが一向に晴れない。
こういうのは時間と共に薄くなっていくものだと思っていたのだが、むしろ酷くなるくらいだ。
あの時の自分の事を思い出すほど、心の中のモヤは質量を持ってまるで蛇のように締め付けてくる。
考えないようにするという事もできない。実際はそう思っている時点でその事について考えているわけで、様々な思考の隙間隙間に入り込んでくる。
逃げることはできない。向き合わなければいけない。
あの時上条が思ったことは、とても無視出来るようなものではなかった。
話を聞いた限りでは、インデックスが眠そうにしていたので、他の女子達は男部屋に来て騒ぐ予定らしい。
麦野の男達に対する罰ゲームもあるので、それはそれは面白いことになりそうだ。受ける本人達からすれば恐怖しかないだろうが。
とはいえ、今の上条はとてもそこに混ざろうとは思えなかった。こんな他のことばかり考えてぼーっとしている人間が行っても、空気を悪くするだけだろう。
上条はすくっと立ち上がる。視線の先には景色を眺めるためのバルコニーがあり、ガラス戸を開いて外に出る。
浴衣の上に茶羽織だけという格好なので、とてつもなく寒く、体の芯から凍えるようだ。それに上空から降ってくる雪が頭や肩に着いていく。
そのままバルコニーの一番外側まで行き手すりに両肘を乗せると、目の前に広がるのはポツポツと見える民家の光と、ぼんやりと輪郭だけ見える山々。
こうして遠くから見る光は、どこか宝石のようにも思えた。一つ一つがぼんやりと光っており、ゆっくりと落ちてくる雪に反射して幻想的な光景にしている。
だが、上条はそんな光景をろくに見ていなかった。目は確かにそちらを向いているのだが、それを頭で処理しようとしていない。
しばらくじっとしていると、頭や肩に雪が積もっていくのが分かる。
それでも、上条はそれを払ったりはしない。僅かにでも動く気にもなれなかった。
今はそんな事よりも、集中して考えなければいけない事があった。
舞い落ちる雪。時折刺すような冷風が吹く、二月の夜の雪空の下。
上条は、動かない。
***
「ごめんね気を使わせちゃって」
「いいっていいって、ゆっくり寝なさいよ。……よし、それじゃあ行こうかしら男部屋」
女部屋ではインデックスが布団に入って眠そうにしている。
そして、それとは対照的にやけにハイテンションなのは麦野だ。
それも無理は無い。これから罰ゲームで男三人に対して彼女の言うことを何でも聞かせることができるのだ。
Sっ気たっぷりの彼女にとっては楽しくないはずがない。
彼女の両手には大量の酒瓶が握られている。
昨日と同じように酒も入れて思い切り騒ぐつもりなのだろう。しかしこのテンションでは何かの拍子で浴衣がはだけないか心配な面もある。
流れで美琴と食蜂も一緒に行くという事になっており、食蜂の方も麦野と同じくノリノリだ。
彼女に関しては初めからゲームを受けていないので罰ゲームを与える資格はないのだが、それでもただ見ているだけでも面白いのだろう。
他人の不幸は蜜の味というやつだ。
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