過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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747: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/07/16(火) 17:41:53.66 ID:wF64hV+jo

一方で、美琴は口数少なく思考にふけっていた。

(……あの馬鹿)

宿に戻ってから、いやそれよりも前、インデックスと一緒に助け出されてから。
上条のその表情にはどこか影が下りていて、何かに悩んでいるという事くらいはすぐに分かった。
もちろん宿に戻って少し落ち着いてから、何かあったのかとは尋ねた。しかし、上条はハッキリとは答えてくれなかった。

『俺、もう自分が分かんねえよ……。何であんな事思っちまったんだ。そんなのアイツが望んでるわけねえのに、俺は……』

その言葉からは多くのことは分からない。しかし、重要な事は分かる。
それは上条が今インデックスの事について悩んでいる事、そしてそれは上条自身の認識に関係する事。

そこまで考えて、美琴の中では上条を助けるための一つの方法が浮かび上がってくる。
いや、実際それはもっと前から心の中にはあった。だが選び取ることができずに押し込んでいたものだ。
その方法をとれば上条の助けにはなるかもしれない。

しかし、その選択は美琴にとっても大きな意味を持つ事になる。

「まーた上条の事で頭いっぱいだよこいつは」

「……へっ!? な、ちょ、いきなり何言ってんのよ!」

「けど図星でしょ?」

「そ、それは……」

「御坂さんは心読めないけど、こういう所は分かりやすいのよねぇ。女の子はそれじゃ不利だゾ☆」

「少なくともアンタみたいにはなりたくないわ」

どうやら美琴の様子に対して、どこかおかしいと思われていたらしい。
そして、同じように上条の様子にも気付いていたらしく、

「そういや、上条もなんかおかしかったわね。ずっと心ここにあらずって感じで」

「そうそう。私も聞いてみたんだけど、『少し自分で考えさせてくれ』って言われちゃったのよねぇ」

「…………」

「ははーん、それで御坂は『私が何とかしてあげないとっ』とか思ってるわけね」

「なっ、いや、その……」

間違ってはいないので正面から反論はできない。

だが、それはもはや上条の問題と言うよりも自分の問題になっていた。
方法はある。彼が悩んでいるのであれば、ハッキリさせる可能性があるものが一つ。
ただ、それを選択する一歩が、美琴には中々踏み出せない。

すると食蜂はスッと立ち上がって扉の近くまで行く。

「とにかく、もう行きましょぉ? 上条さんの事は心配だけど、何でもかんでも干渉する事もないと思うわぁ」

「……まぁ私は元々上条に何かするつもりはないけどさ。御坂、あんたはいいわけ?」

「考え中。いいわ、とりあえず行くわよ」

三人は女部屋から廊下に出る。
今は学園都市からの生徒受け入れで貸切状態なので、廊下に人通りはない。
そのまま適当な事を話しながら、男部屋へと歩いて行く。

ふと窓から外を見ると、まだ雪が降り続いてるのが分かる。
そんな夜の闇に映る白い結晶を眺めながら、美琴の頭の中では答えがあるのかどうかも分からない問題を考え続けていた。

食蜂はスタンスを崩す事はないようだ。
彼女も上条の事を想っている。だからこそ、何もしない。
そうやって一貫している態度は、むしろ感心するくらいだ。

美琴も選ばなければいけない。
考えて考えて考えて、今自分がどうしたいのか。
それを、見つけなければいけない。



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