過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2013/07/16(火) 17:45:12.11 ID:wF64hV+jo
「御坂さん」
静かな声が背中を追ってきた。
不本意ながら、聞いただけで誰のものか分かるその声、しかしそれはあくまで表面的な声の質の話だ。
美琴は、彼女のこんな声を一度も聞いたことがなかった。本人は分かっているのかどうかは知らないが、それはまるで。
友達を気遣うような、柔らかな調子だった。
振り返ると、やはりそこに居たのは食蜂操祈だ。
浴衣が若干ずれていて、頬が上気している所を見ると、慌てて追いかけてきたのかもしれない。
それからとにかく息だけは整えて話しかけたのだろう。
美琴は小さく笑って、
「なによ、見送りに来てくれたわけ?」
「……どこへ行く気?」
「アイツのとこ」
「何をしに?」
「アンタの想像通りで合ってると思うわ」
この会話にはほとんど意味がないのかもしれない。
ただの形式的なやりとり。それこそ手紙の最初に書かれるような季節の挨拶のように。
当然、そんな事をするだけの為に彼女は追いかけてきたわけではないはずだ。
「あなたって、そういう所上条さんに似てるわぁ。そうやって自分のことなんかお構いなしに誰かの為に動く所」
「褒められてんのかしら?」
「褒めてるわけないじゃない。なによ、人には自分を犠牲にするなって態度のくせに、自分はいいの?」
「私は別に犠牲になるつもりなんかないわよ。それにこれはインデックスの為じゃない。私とアイツの為よ」
「……ウソよ。これはあなたが一番望む選択なんかじゃないでしょ」
本人は気付いているのだろうか。
食蜂の表情は美琴を糾弾するようなものではない。むしろ、こちらを心配しているようにも思えるものだ。
おそらく指摘した所で彼女は絶対に認めないだろう。どうして恋敵にそんな気持ちを向けなければいけないのか、と。
美琴はゆっくりと目を閉じた。
言うことは決まっている。それは決してブレることはない。
「これが私が一番望む選択よ」
「ウソよ」
「本当よ」
「何でそんなウソつくのよ!!!」
食蜂の叫び声が廊下に響いた。
彼女は息を荒立て、肩で息をしてこちらを睨む。
しかし、その表情は今にも泣きだしそうなものだった。
美琴は何も言わない。
ただ、彼女の視線を正面から受け止めるだけ。
それだけで、十分だと思った。
そのままどのくらい経っただろうか。
時間の感覚はあやふやになっており、もしかしたら思っているよりもずっと長い時間、こうして視線をぶつけ合っていたのかもしれない。
膠着状態を崩したのは食蜂の方だった。
「……理解できない。そんなの、私には絶対に」
「理解してもらおうとは思ってないわ。ただ、私はアンタのその選択も理解はしてるけどね」
彼女の選択を否定する気などない。
彼女は彼女で、上条と一緒に居たい、その一心で選んだ道だ。
その気持ちは痛いほど理解できる。美琴もまた、彼女と同じで上条の事を想っている少女だ。
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