過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2013/07/16(火) 17:46:19.80 ID:wF64hV+jo
***
夜の闇に映える舞い落ちる白い雪。
それらは相変わらず旅館からの光や遠くの民家の光に照らされて、幻想的な光景を生み出している。
上条はまだバルコニーの手すりに両腕を置き、その上に顎を置いて考え込んでいた。
考えて考えて、それでも答えは一向に出てこなかった。
何度も何度も、様々な視点から考えようとしても、それは水面に映る月を掴もうとしているかのように、全く手応えを感じられない。
だからといって、考えることをやめることはできない。
これは目を逸らしていいような問題ではなく、答えが出るまで向き合わなければいけないものだ。
それまではここを動かない、そんな意地のようなものまで持ち始めていた。
そんな時。
「何やってんのよ、アンタ」
背後から聞こえてきた声。
それは素っ気ないように聞こえて、どこか優しさも感じられる不思議なものだった。
振り返ると、御坂美琴が居た。
彼女は微笑んでいた。
その表情は強さと優しさが同居した、それこそ物語のヒーローのようだ。
今の上条には眩しくて思わず目を逸らしたくなる程だった。
ここまで来るには、二階ロビー近くのガラス戸を開けなければいけない。
上条はそれに気付かないほど考え込んでいたらしい。
「……少し考え事があったんだ」
「それってここでしなくちゃいけないわけ? ロビーに居ないからどこに行ったのかと思ったわよ。
ていうか寒い。アンタよくその格好で平気ね。流石に雪が降る二月の夜に浴衣で外出るのはキツイでしょ」
美琴は体を震わせながら、上条の隣まで来て同じように両腕を手すりに乗せる。
上条と違って浴衣の上に羽織るものもないので余計に寒そうだ。
いくらなんでもその様子を見て放っておけるほど薄情でもないので、上条は着ていた茶羽織を彼女にかけてやる。
「ん、ありがと。でもこれだとアンタが寒いでしょ」
「俺はもう冷えまくってるから関係ねえよ」
「そういう問題なの……? まったく、ほら」
と、美琴は腕が触れ合う程近くまで寄ると、茶羽織を上条にもかけてお互いで共有する形にする。
上条は小さく苦笑して、
「これじゃどこかのバカップルみたいだな」
「バカって何よバカって。仲良さそうでいいじゃない」
「へぇ、御坂的にはこういうのに憧れでもあんのか?」
「まぁ、人並みにはね。私だって恋に恋する中学生なのよ」
「果てしなくお前のイメージから遠いなそれ。恋とかそういうものの前に、とにかく強くなりてえって言ってる方がしっくりくる」
「どこの少年漫画の主人公よ。それ結構失礼だって分かってる?」
「わるいわるい」
彼女との会話は気楽でいい。余計なことを考えずに済む。
それは案外会話において重要な事なんだろうし、常に次に何を話そうかと考えなくてはいけない状態は息苦しい事この上ない。
その時その時で言いたいことを言う。何もない時は何も言わない。それが自然にできる間柄というのはいいものだ。
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