過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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798: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/09/19(木) 05:05:16.12 ID:EJeQ9ZV8o

といっても、これらはあくまで喩え話だ。
本当にその通りになるとはインデックス自身は思っていない。だからそこまで気にかける必要もないだろう。

首を傾げたのは垣根だ。

「なぁ、今のやりとりに何か意味はあったのか?」

「少なくともオマエの存在価値よりはあンだろ」

「よーし、もう我慢の限界だ。表出ろやコラァァ!!!」

「だから何でケンカになんだよお前ら!!」

考え込むインデックスをよそに、男達は勝手に盛り上がっていた。



***



美琴と麦野は山に来ていた。
美琴は厚手のセーターにミディスカート、麦野はジャケットにジーンズ。二人共上にはコートを羽織っている。
今日は青空が綺麗ないい天気だが、雪はまだ残っていた。昨日の大雪以前からのものも多いだろう。

彼女達がここまで来たのは、決して失恋のショックで早まった事をする為ではない。
そもそも、彼女達の性格を考えればむしろ山の方を心配したほうがいいのかもしれない。八つ当たり的な意味で。

とにかく、彼女達は別に木にぶら下がるわけでも、山を吹き飛ばすつもりでもないのは確かだ。

麦野は退屈そうな表情で、

「それで、あんたはこんなとこまで来て何するつもりなのよ。いい加減なんか面白いことしなさいよ」

「アンタ……ついてきた目的はそれか」

「もちろん。男にフラれたばかりの女ってのは結構面白いことするからね」

「それは体験談?」

「バカ言え」

麦野がどういった事を期待しているのかは知らないが、それに添えるかどうかは不明だ。
少なくとも、美琴自身の評価としては対して面白い事ではない。

そんな事であまり付き合わせるのも悪いと思ったので、正直に言うことにする。
美琴はコートのポケットからあるものを取り出した。

「ただこいつを捨てようと思っただけよ」

「そりゃペアリングか? おいおい、付き合ってもない男の為にそんなもん買ってたのか。随分重い女ね、ストーカーになるタイプよ」

「うっさい、今思えばちょっとアレだったかもってのは分かってるわよ」

このペアリングを買ったのはハワイでの事だ。
重いという指摘も既に番外個体から受けているわけで、それから密かに自分は重い女なのかと割と真剣に頭を悩ませたりもした。
まぁその時は初恋なんだしこれくらい突っ走っても問題ないという風に考えていたのだが、こうして冷静になってみると飛ばしすぎたとも思えてくる。

恋は盲目とはよく言ったものだ。

麦野はしげしげと指輪の模様などを眺めた後、

「……ふーん、とりあえず何がしたいのかは分かったわ。でもさ、別に捨てるまでしなくていいんじゃないの。
 ほら、上条がインデックスに告白して玉砕とかしたら、その時はまたアプローチを始めて狙っていくっていうのもありなんじゃない?」

「インデックスはアイツの事が好きって言ってるじゃない」

「だからといって、上条の告白を受け入れるかどうかは分からない。
 元々、色々と面倒くさい事情とか絡みまくってるんでしょ。それを考えて自分からは告白しないって考えているみたいだし」

「それでも、私は一度ケジメをつけたいのよ。もしアイツがフラれた時は、その時また考えるわ」

これからどうするかという事を考える為に、美琴には区切りが必要だった。
だから、ペアリングを捨てる。ケータイのペア契約も解消するべきだろう。ゲコ太ストラップは勘弁してもらいたいが。
時に前へ進むためには何かを捨てなければいけない事もある。



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