過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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806: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2013/09/19(木) 05:11:09.49 ID:EJeQ9ZV8o

「食うっつってもシチュエーションが色々あんだろ? そうだな、ほら、定番の自然公園のボートの上で何か食べながらのんびりするとかよ」

「それ滝壺さんとやって、彼女超爆睡したまま寝ぼけて池に落ちそうになったとか言ってませんでした?」

「うっ……!!」

「つーか、なんか浜面が先輩面してますけど、そんな胸張れるほどデートで滝壺さん楽しませているわけでもないでしょう」

「ぐがっ!!!」

痛いところを突かれまくったようで、浜面は身をよじっている。
絹旗はそんな彼の反応に満足気に小さく笑うと、

「デートといえば映画館というのが定番でしょう。ポップコーンなど食べられるものもありますし」

「映画……かぁ。今どんなのやってんだ?」

「おっ、聞いちゃいますか? ふっふっふっ、いいでしょう。映画のことならば全てを知り尽くした絹旗最愛ちゃんが超何でも教えてあげましょう!!」

「B級ってとこ抜けてんぞ、そこ大事な所だろ。つかやめとけ上条、コイツのオススメする映画ほんっとつまんねえから」

「それは浜面の残念すぎる感性では超理解できないだけなのです。はぁ、嘆かわしいですね。B級にはB級なりの楽しみ方があるのに、それが超分からないなんて」

「まずB級でなきゃいけねえっていう必要性がねえ!! 普通の話題物でいいじゃねえか、この前だって滝壺さんグースカ寝てたんだぞ!!」

「誰もが楽しめる映画を人並みに楽しめて何が面白いんですかねぇ。浜面は全然分かっていません、えぇ、超全然分かっていません」

絹旗はやれやれといって様子で首を横に振る。

「B級やC級といったものは、ハリウッド超大作とは比べ物にならない程貧困な制作費の中から四苦八苦して、何とか最高の映画を創り出そうとしている所が最高なんですよ。
 以前にも言いましたよね。例えるならよくあるハリウッド物が『ドヤァァ面白いだろぉぉぉぉ』みたいな感じだとすれば、私が見るB級は『うりゃぁぁ面白いだろぉぉぉぉ』みたいな」

「いや分かんねえ、ぜんっぜん分かんねえ。しかもそういう御大層な思想語った直後に『うわ、つまんねー』って全力で放り投げた事も忘れてねえぞ!!」

「違うんですよ、B級にも色々あるんですって。私は『ウェーイ、いっちょバカな映画作ってやるぜ!!』みたいな初めから勝負していないB級には興味がないんです。
 本人達は本気でハリウッド超大作にも勝つつもりで作ったものが、どういうわけかB級になってしまったような……ってこれも前に言いましたよね。
 まぁ、私もその辺りは実際に観てみないとどういうタイプのB級か判断できないので、そこはもっと精進すべき部分ではあると思いますが」

長々と語り続ける絹旗。そしてそれに対してツッコミを入れていく浜面。
それはともかく、これほどまでに情熱を注げるものがあるのは幸せだと思う。
上条は一度深く頷いて、

「……なるほど。そんな楽しみ方もあんのか」

「いや納得しちゃダメだ上条。何か色々言ってるけど、結局のところは『みんな知らない面白い映画を知ってる自分すげえええええええ』って事だから」

「それもないとは言いません」

「いいやそれが九割九分九厘だね」

「超聞き捨てなりませんね、九厘までいくわけないじゃないですか。よくて八厘です」

「その一厘の差がどれだけ重要なんだよ!」

「重要です。ほら、例えば戦場に咲いた一輪の花という曲があります。もしこれが一輪ではなく二輪だったら超微妙じゃありませんか?」

「漢字がちげえ!! つーか俺的には二輪の花でも一向に構わない!! なぜなら二輪の方が寂しくないから!!」

「お前ら仲良いな……」

上条を置いてけぼりで白熱する二人。
話の内容は本当に些細でくだらないどうでもいいような事なのだが、表情は活き活きとしている。
その様子はどこか上条とインデックスの関係と似たようなものを彷彿とさせる。心を置ける相手というものは大切で貴重だ。

ところが、絹旗は面倒くさそうに片手をヒラヒラと振ると、

「こんなのと仲良いとか言わないでくださいよ超気色悪い。それに、どうせこの腐れ縁ともあと少しでおさらばです」

「えっ?」

「解散すんだよ『アイテム』。当然俺と滝壺は二人で居るけど、麦野も絹旗もそれぞれ別の道へ進む」

「音楽性……もとい人間性の違いですね」

「無理に解散するバンドみたいに言わなくてもいいだろ」

「……なんつーか、それでも案外あっさりしてるもんだな」



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