過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2014/03/04(火) 07:34:45.00 ID:4ipaVk6zo
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それから上条とインデックスは学園都市のグルメ食べ歩きを続けた。
漫画に出てくるような原始的な骨付き肉から、普段の上条家の家計からは到底手の届かない最先端技術と食材をふんだんに使われた高級料理まで。
加えて、このチケットの良いところは、使える範囲がとてつもなく広い点だ。
具体的に言えば、お食事処だけではなく映画館のポップコーンのようなものにも使えたりもする。
本当の意味で学園都市のグルメを堪能し尽くす事ができるというわけだ。
こんな贅沢をし放題なチケットをあんなに簡単に渡してくれた白井黒子には、これからしばらくは頭が上がらないだろう。
とは言え、やたら美味いポップコーンを食べながら観た映画というのは色々と残念過ぎるB級だったため、もはやポップコーンの方に集中してしまう有様だった。
浜面が頑なに絹旗映画を否定し続けていただけに、逆に興味を持ってしまいこうして観てみたのだが、どうやら失敗だったようだ。
そしておそらく、あの絹旗最愛自身も、この映画を観て面白いとは言わないだろうと思ってしまった。
そんなこんなで、映画の感想などは皆無で、ポップコーンの感想ばかりを話しながら、上条とインデックスは次の目的地へと向かう。
時刻を確認すると、もう昼下がりだった。時間の流れを早く感じるのは、何も冬で日照時間が短いからとかいう理由ではないだろう。
楽しい時間というのはいつだって早く流れ去っていく。
かのアインシュタインも相対性を説明する例えに「熱いストーブに手をかざすと、1分間が1時間のように感じられるが、
素敵な女の子と話をしていると、1時間がまるで1分間のように感じられる」という言葉を残している。
人間の感覚というのは何とも都合の悪い作りになっているものだと、何か生き物として根本的な部分に不満を持ってしまう始末だ。
ただ、いつまでも嘆いていても仕方ない。
「よしインデックス、次は第六学区だ」
「第六学区? もしかして初めて行く所かな?」
「あー、そういえばインデックスは行った事ねえかもしれねえな。観光客向けにアミューズメント施設が集まった学区なんだけどさ」
「観光客……って一応私もそうなのかな? あまり実感ないんだよね、ほら、私にとってとうまの家が実家って感覚だから」
「なるほどな……まぁ、別にあそこは俺の家ってわけじゃなくて寮の部屋なんだけども」
確かに彼女にとっては、今の記憶で最も長い時間を過ごした場所というのがここ学園都市であり、むしろここが故郷と言ったほうがしっくりくるのかもしれない。
魔術サイド側の最たるものである魔道書図書館としては何とも奇妙な状況だ。
ただ、上条にとって大切な女の子としては、この街を、上条の部屋を自分の帰る場所だと彼女が思ってくれているという事は嬉しい事なのだが。
インデックスは期待を込めた眼差しを向けていた。
「それでそれで? これからそのアミューズメント施設に連れて行ってくれるの?」
「おう、オーソドックスに遊園地な。つっても学園都市の遊園地だから外のやつとは一味違うぞ、たぶん」
「やった! まぁでも私、外の遊園地も行ったことないから違いとかよく分からないんだけどね」
「そうだった!」
何だか学園都市というアドバンテージを失った感覚だ。
だが、それでも人生初の遊園地体験が学園都市製というのも、それはそれで思い出に残りそうな気もする。
「ふふ、でもとうま。映画に遊園地って、なんだかデートの定番所ばかりだね。別に嫌だっていうわけじゃないけど」
「おっ、やっとデートだって認めたかインデックスさん」
「え、あ、それは……だって、流石にごまかしきれないっていうか……」
「じゃあデートって事で手も繋ごうぜ、ほら」
「聞く前から繋いできてたような気もするかも」
「いやか?」
「そんな事言ってないけど……ねぇ、もしかしてとうまはこれからそういうスタンスでいく事にしたのかな?」
「ん、どういう意味だ?」
何故かインデックスは若干不安そうな表情でこちらを見ていたので、上条は首を傾げる。
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