過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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◆ES7MYZVXRs
[saga]
2014/03/04(火) 07:41:46.89 ID:4ipaVk6zo
「理屈では分かっているんですけどね。人が人を守る理由に、必ずしも恋愛感情などはいらない。
そういった感情を抜きにしても、誰かを守りたいという気持ちに嘘偽りなどあるはずもなく、それも一つの真実である、と」
「…………」
「……それでも、自分は納得できないんです。男女間の友情を信じていないわけではありません。
ただ、例えどんな理由があろうとも、彼女を悲しませた事に関しては許すことができない。そういう事なのかもしれません」
「それは言い訳するつもりはねえよ。確かに俺は御坂を悲しませた。アイツに酒入ってたとはいえ、思い切り泣かせちまったしな」
上条はそう言うと、両手を横に広げた。
鉄橋の上で、美琴を止めたあの時のように。
「何の真似です?」
「別に。ただ、俺はお前に殴られなきゃいけねえと思ってるだけだ」
「……そんなのは望んでいませんよ」
「え?」
「構えてください、上条さん。自分が望んでいるのは一方的な攻撃ではありません。
それこそ、この場にふさわしい、拳と拳の泥臭い男同士の決闘というやつを望んでいます」
そう言って、海原は自分の顔を剥がした。
バキバキという音と共に、その柔和な顔の下から現れたのは、浅黒い肌に鋭い目。外人特有の骨格。
あの夏休み最終日に見た時以来の、彼の本当の顔だった。
「海原光貴ではなく、アステカの魔術師としてでもなく、一人のエツァリという男としてあなたに決闘を申し込みます」
エツァリは懐にあった黒曜石のナイフ、トラウィスカルパンテクウトリの槍を捨てる。
魔術を捨てる、つまりこの戦いの意味を表している。
その行動にやや呆気にとられていた上条。
だがすぐに自分のやらなくてはいけない事を察し、グッと拳を握りしめた。
「……あぁ、もちろん受けるぜ」
「念の為言っておきますが、わざと負けるような事はしないでくださいよ」
「分かってる。お前に勝つために全力でいく」
上条のその言葉を最後に、お互いに距離を取り、辺りは沈黙に包まれる。
二人の間は五メートル程か。
雪のせいで、視界は決していいとは言えない。
それでも、お互いに目の前の相手から目を逸らさない。
本当に静かだった。
人払いの影響も当然あるのだろうが、それ以上に二人の間の空気が張り詰めている。
そして。
ザッという足音が、やたらと大きく辺りに響き渡った。
ほぼ、同時。
何の合図も無かったにも関わらず、上条もエツァリも同じタイミングで前へ駆け出していた。
「ふっ!!!」
先に打ち出したのはエツァリの方だった。
綺麗なフォームからの右ストレート。
それは寸分違わず、上条の顔面を打ち抜く。
「がっ……!」
ブレる視界、走る激痛。
だが、それは上条にとってはもはや慣れっこだ。
すぐに上条は体勢を直すと、反撃とばかりに同じように右ストレートを打ち出した。
直後、上条の拳に、人体にめり込む馴染みのある感触が伝わる。
「ぐっ!!!」
エツァリは避けなかった。
避けられなかった、ではない。初めから避けるつもりがないのだ。
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