過去ログ - 禁書「イギリスに帰ることにしたんだよ」 上条「おー、元気でなー」
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970: ◆ES7MYZVXRs[saga]
2014/05/01(木) 02:41:08.23 ID:wiguRyO8o



***



暖かく、心地いい。

ぼんやりとした感覚の中、上条はただそれだけ思う。
先程までの寒さが嘘のようだ。

(……寒さ?)

次第に頭の霧が晴れていく。
それと同時に、少し前の出来事が次々と脳裏に浮かんできた。

(そうだ……俺は海原にぶっ飛ばされて……それで…………)


「……とうまは…………うん……その時…………お願い…………」


声が聞こえる。インデックスのものだ。
まだ意識は曖昧で、彼女は誰かと話しているようだが、その内容までは途切れ途切れにしか入ってこない。
それでも、その声が彼女のものだという事くらいはすぐに分かった。

少し、いや、しばらく経っただろうか。
こういう意識がハッキリしない時の時間の感覚は当てにならない。
とにかく、上条はゆっくりと体を起こす。

ここはいつもの病室だった。
ぼんやりと目の前の白い壁を眺めながら、少しずつ意識を覚醒させていく。
次第に気を失う前の事を思い出していき、そこから今この場所にいる経緯も何となく予想がつき始めた。

そして。


「とうま」


ダラダラと、嫌な汗が流れ始める。

それは可愛らしい女の子の声ではあるが、裏に潜む感情がひしひしと伝わってくる。
顔を少し横へ向ければ、その音源の少女をこの目で確認する事ができるだろう。
だが、その選択はとてつもなく気が進まない。

だから、上条は正面を見たまま口を開いた。

「……インデックスさん。これには深い訳があるんです」

「うん、私はシスターさんだからお話は聞くよ? だからこっち向こうか、とうま」

「ホラー映画とかってさ、視点変えた瞬間すげえ恐ろしい事になるよな」

「大丈夫、ここには亡霊の類はいないから」

「よしインデックス、そっち向く前に一旦確認しておこうぜ。まず俺は怪我人だよな?」

「うん、お医者さんが言うには、頭に噛み付いても問題ない程度の怪我人だね」

「…………」

「とりあえず話し合おうよ、とうま。ね?」

上条はゴクリと喉を鳴らして覚悟を決める。
そうだ、彼女は一応は話を聞くつもりはあると言ってくれている。
それはつまり、上条の言い訳次第では丸かじりコースを避けられる可能性があるという事だろう。

懸命に頭を働かせて頭にいくつか言葉を浮かべる。
一歩間違えば大変な事になってしまうので必死だ。

(……よし!)

上条は意を決してインデックスの方を向いた。
ここからが勝負――――。


「がぶっ!!!」



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