過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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364: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/13(火) 06:56:27.14 ID:3MnLayldo
その後、彼女が運んできた細めのパスタを平らげ、再び午睡するかのように目を閉じ、風を感じる。
暮れなずむ空が青から橙へと色を変え始め、入り混じった薄紫の空が頭上に広がっていく。

日が落ちる前にと勇者は席を立ち、城内へと入る。
もう、空を見る事はできない。
後は、ただ夜へと変わっていくだけ。

勇者は一人ごちる。
これは―――まるで、『死刑囚』の心境だ、と。
二度と、空を見る事はできない。
二度と、舌を楽しませる料理を味わう事はできない。
二度と、人肌のぬくもりを感じる事はできない。

最後の日は、あまりにも切なく、救いなく終わりそうだ。

途中、サキュバスAを見かけた。
日が落ちて庭の手入れを終えたのか、大きな鋏を手にしていた。
彼女も勇者の存在に気がついたが、一礼を送り、すぐにその場を去ってしまった。

自室に戻る気にはなれず、当て所なく城内を彷徨う。
飾られた絵画を眺めながら廊下を歩き、思いついて謁見の間を覗き、まるで――最後に、目に焼き付けようとしているかのようだ。


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