過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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392: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/14(水) 04:54:08.58 ID:NBSc6G9uo
彼が、一人ではあまりにも大きな卓につくと、すぐに前菜が運ばれた。
茸を用いた固形の蒸し物に、野菜を添えられた皿だ。
一口運ぶと、口の中に芳醇な香りが広がり、それによって食欲が更に増進された。

物足りない量のそれを片付けると、次はスープ。
朝に出たものとは味付けが違っている。
よく煮込まれた玉葱と鶏骨のブイヨンが香り、メインに向けて更に食欲が増す。

メインの肉料理。
両面を良く焼かれているが、中はレア気味に、切ってみればグラデーションが目に楽しい。
口に運べば、肉汁と酸味を持つハーブの香りが広がり、そして非常に柔らかい。
飲み込むのが勿体無いと思えるほどに、勇者は何度も長引かせるようにそれを味わった。
余計な脂の雑味は無く、ただ、肉の持つ旨味と最大限まで引き出している、単純だが嗜好の調理。

そして、最後。
少なくとも人界では希少な、チョコレートを用いた焼き菓子が運ばれる。
フォークで割ってみれば、まるでパイ生地のように表面がさくりと割れた。
内部には瑞々しい野苺に似た果物が仕込まれ、ほろ苦いチョコレートと絶妙に絡み合う。

最後にして至高の晩餐を終えた後、茶が淹れられた。
堕女神自ら、勇者の傍らで。


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