過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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391: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/14(水) 04:10:58.14 ID:NBSc6G9uo
大食堂へと続く目の前の扉を開けようとした。
手を扉へ伸ばした瞬間、止まる。

勇者「……なぁ」

サキュバスA「はい?」

呼び止められ、その場で返事をして彼に体を向ける。
いつもと同じく、挑むような眼差しに、飄々とした物腰。
それでも――彼には、伝わるものがあった。

勇者「……ありがとう」

体を捻り、じっと、彼女の顔を見つめる。
目が僅かに赤く、纏う空気も僅かに沈んでいる。
堕女神は分かりやすく取り乱した。
サキュバスBも同じくそうするだろう。
だが、彼女は?

勇者「…忘れない。お前のおかげで、俺は最期まで『勇者』でいられそうだ」

それだけ言って、彼は大食堂へと入っていく。

彼が最後の晩餐へと消えた後、彼女は――悲しげに唇を震わせて、それでも微笑みながら、部屋へと帰った。


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