過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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626: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/18(日) 23:51:12.23 ID:iqMuIW78o
集中していた僧侶の耳に、不吉な音が飛び込んできた。
何かがひしゃげ、直後、壁に激突する大音響。

ぞくり、と死神の鎌で背を撫でられるような悪寒。
発作的に顔を上げる。

勇者が、いなかった。

魔王がこちらを向いて、歯を剥いていた。


―――勇者は、空中でまともに尾の一撃を受けた。
寸前で防御はしたが、大質量に遠心力の加護を受けた一撃は重すぎる。
どこかの骨がみしみしと軋み、加重に耐え切れず、ゴキっ、とへし折れる音を勇者は聴いた。

その勢いのまま飛ばされ、玉座側の壁へと吹き飛ばされ、叩き付けられた。

最悪な事に、現状を整理すると……僧侶が、二人へ回復を施し、魔力が尽きかけている。
魔王はそちらへ意識を向けている。
勇者は直撃を受けて吹っ飛び、僧侶と魔王を挟んで遥か向こう側に。

地響きとともに、魔王が近寄ってくる。
消耗した体で、何とか立ち上がり、杖を構え、横たわる二人の前に、庇うように立ち塞がる。
魔力の消耗で弱った体。
加え、目の前には人界最凶の存在が、絶望的な威容を以て迫っている。

脚が、止め処なく震える。
根源的、そして不可避の恐怖がすぐ身近に迫り、涙が滲む。

怖い。
死にたくない。
――でも、ここを……どくわけには、いかない。


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