過去ログ - 魔王「世界の半分はやらぬが、淫魔の国をくれてやろう」
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726: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2011/12/21(水) 00:14:53.00 ID:nfQOajV2o
絶望が、心を侵蝕する。
死にたくない。
出来る事ならば、今すぐにでもここから出て行きたい。
何をしてでも生き延びて、人並みかそれ以上の幸せを掴みたい。

だが、殺したくない。
救われた後でも結局救えない、戦火を再び灯らせる世界の中、無力感を噛み締めたくない。
命と引き換えの覚悟で救った世界で、救った人々に刃を向ける事などできない。

矛盾している。
そんな事は、分かっていた。

その矛盾もまた、『人間』の証明。


打ちひしがれ、くずおれて最期の刻を待つ勇者が。
俄かにうなじが毛羽立つ、覚えのある気配を感じた。


魔王「だから、我は言ったのだ」

地獄の底から響くような、本来の姿の魔王ではなく、人化の法でその身を変じさせた魔王の声。
勇者は、弾かれたように頭だけをその方角へ向けた。

勇者「貴様、まだ生きていたのか!?」

その身を両断された魔王は、頭と右腕のみを切り裂かれた胴体で繋ぐ有様で、再び人へと化けていた。

魔王「……いや、我はもうすぐ滅ぶ。魔王城の崩壊がその証だ」

勇者「…なら、何故だ。最後まで俺をなぶりたいのか?……それとも、死ぬまでの暇潰しに付き合えと?」

魔王「どちらも魅力的ではないか。だが、残念ながら違う」


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