527:以下、あけまして[saga]
2012/01/03(火) 18:33:51.99 ID:eLdT6SB4o
お兄さんは少し顔を赤くした。あたしは外からは冷静なように見えていたと思うけど、実際はお兄さんに関心を持ってもらえたことに興奮していた。お兄さんもあたしのことを好きなのかもしえな
い。その興奮のせいか、あらかじめ話す内容を考えてこなかったせいか、その日あたしは大失敗をしてしまったのだ。
多分、お兄さんは妹ちゃんから向けられている好意に気づいていない。妹ちゃんが好きなあたしは、お兄さんにそのことを気づかせていけないはずなのに。お兄さんと話せて興奮気味のあたしは、妹ちゃ
んがお兄さんが好きなこと、それも彼氏先輩より好きなことを力説してしまったのだ。しかもご丁寧にお兄さんがそんなことはないよと否定するたびに更に妹ちゃんがいかにお兄さんに好意を
寄せているかを重ねて説明する始末。確かに前のメールで、妹ちゃんが学校ではブラコンと呼ばれているという内容をお兄さんに送信したことはあったけど、それはお兄さんにあたしへの関心を持
ってもらうための言わば餌だった。こうしてお兄さんと会えて、しかもあたしの言葉に顔を赤くしているお兄さんにこれ以上こういう話をする必要は全くなかったのに。
お兄さんと話しながら、いろいろと嘘を付き慣れているあたしが何でこんなに素直になっているのかを考えてみたけどよくわからない。でも、お兄さんには何か人を素直にさせる安心感のような不思議な魅力が備わっているんだと感じた。そしてその感覚には既視感があった。妹ちゃんと出会ったときも同じことを考えたっけ。
このまま話していたら妹の兄への禁断の恋まで話してしまったかもしれないが、幸か不幸かそういうことにはならなかった。
お兄さんがなぜか突然気を失ってしまったのだ。
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