532:以下、あけまして[saga]
2012/01/03(火) 20:07:42.60 ID:eLdT6SB4o
・・・・・・そのメールには、今日のカラオケには先輩と妹ちゃんも参加するからと書き込まれていた。妹ちゃんと会うことで少しは自分の心の整理ができるのではと期待して、あたしは親に断って家を
出た。雨は相変わらず強く路面に叩きつけられていた。
びっしょりと濡れてしまった服を持て余しながらカラオケに入って席に着いた時には10人くらいの顔見知りが既に盛り上がっていた。妹ちゃんはまだ来ておらず、先輩は携帯電話に向かって何か話していたが、突然大きな声で怒鳴り散らし始めた。周囲は一瞬で静まり返った。おそらく妹ちゃんがここに来るのを拒んだんだろう。こういう状況も最近ではよく見かける状況だった。妹ちゃんは先輩を少しも恐れていないのだ。
お酒が入ってテンションが高ぶっていた先輩は怒鳴ったり暴れたり最低だった。妹ちゃんの悪口だけならいつものことだけど、今日はお兄さんの悪口を繰り返し怒鳴っていた。周囲にいる先輩の友
人の男の子たちが先輩をなだめようとしたけど全く効果はなかった。
「どうせ兄貴に家にいろって言われたんだよ、あいつはよ。あいつの兄貴って大学生になっても妹が家にいなけりゃ飯も食えねえのかよ。クズだなクズ」
「いい年して妹妹って、どうせ彼女もいねえ童貞なんだろうけどよ」
先輩のお兄さんへの罵詈雑言は、あたしの心を乱した。先輩の乱暴な言葉に怯えたのではない。妹ちゃんの家族を貶める怒鳴り声に憤慨したのでもない。あたしは、まぎれもなくあたしの好きな人
への悪口に憤ったのだ。あたしには心を安らがせてくれる何が必要だった。あたしは震えながらお兄さんへのメールを打った。内容なんてどうでもよかった。とにかく愛する人と繋がっていたかったのだ。
あたしが愛してしまったお兄さんと。
結局お兄さんは昨日の夜のメールni返信してくれなかった。翌日、あたしは改めてお兄さんをメールで呼び出した。口実は何でもよかった。ただ、お兄さんと会いたいだけだったから。それでも少しは説得力ある口実を作ろうと考えた末、妹ちゃんと先輩の仲直りの相談をすることにした。もっとも、待ち合わせ当日の校内で仲良く手を繋いでいる妹ちゃんと先輩を見かけた。二人は仲直りしたようだった。それでこの口実はもう使えなくなったけど、お兄さんとの待ち合わせを中止する気はなかった。
もはやあたしには、お兄さんへの自分の恋愛感情がはっきりと認識できていた。男の人を愛するなんて一生ないだろうと考えていたあたしだけど、それは突然やってきたのだ。同時に妹ちゃんへのr
恋愛感情も少しも薄れていなかった。
あたしは混乱していたけれど、どちらの恋のほうが成就しやすいかはよくわかっていた。
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