過去ログ - 妹の手を握るまで
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533:以下、あけまして[saga]
2012/01/03(火) 20:19:07.99 ID:eLdT6SB4o
店に入ると既にお兄さんが窓際の席に座っているのが見えた。お兄さんは何か考え込んでいるようだった。あたしの胸の奥で何かがどくんと音を立てた。これって、妹ちゃんを始めて見た時の感じ
と全く一緒だ。あたしは声が震えないよう明るい声が出るように努めながらお兄さんに声をかけた。

「お兄さん、こんにちは」

「妹友ちゃん」
お兄さんは少し微笑んだ。

「ごめんなさい、遅くなちゃって。待ちましたよね?」

「いや、俺も今来たとこだから」
まるでドラマとかによくある恋人同士の待ち合わせのような返事がお兄さんから返ってきた。

「学園祭の準備が思っていたより手間取っちゃったんですよ」
うん、大丈夫。落ち浮いてちゃんと話せている。

「来週だっけ?」

あたしは、なけなしの勇気を振り絞った。
「はい。お兄さんもよかったら遊びに来てください。案内しますから」

「うん。行けたら行くよ」

「本当ですか? やった。絶対に来て下さいね?」
行けたら行くよ。それはあたしの期待していた言葉ではなかったが、あたしは必死で失望を表さないように努力した。

「うん。それより、昨日の夜は大変だったね」

「ああ、変なメールしちゃってすいませんでした。ごめんなさい」

「いや、別にいいけど。あれからどうなったの?」
あたしはあの夜の出来事をかいつまんでお兄さんに説明した。お兄さんは困惑したようだった。

「俺、そいつに会ったことないんだけど。何で俺の悪口言ってたんだろうな」

「嫉妬でしょ。前にも話しましたけど、先輩は妹ちゃんにマジ惚れしてますし。あまり気にしなくていいと思いますよ。で、実は相談があってせっかくお兄さんに来ていただいたんですけど」

「うん」

「ごめんなさい。何か解決しちゃったみたいで」

「そう。まあ、解決したんならよかったじゃん」

「先輩と妹ちゃんのことを相談しようと思ってたんですけど」

「え?」

「ほら、あの二人最近ぎくしゃくしてたじゃないですか。昨日は先輩あんな有様だったし。で、どうしたもんかと」

「で、解決したとは?」

「今日、学校で先輩を見かけたんですけど」

「うん」

「妹ちゃんが一緒にいて、二人で手をつないで歩いてました」


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