過去ログ - 妹の手を握るまで
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950:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/25(水) 22:43:21.44 ID:WrmlNkbKo
テレビからは『ざわざわ森のがんこちゃん』のテーマソングが流れている。

『がーんこちゃーん♪』

「・・・・・・おまえさ」
お兄ちゃんが気のせいか少し緊張した声であたしに話しかけた。

「うん?」
あたしはがんこちゃんから目を離しお兄ちゃんの方に振り向いた。

「昨日、俺のベッドで寝てなかった?」

「お兄ちゃんが帰ってきたら謝ろうと思って」
あちゃしはすぐに答えた。

「うん」

「でも、自分の部屋だとお兄ちゃんが帰ってきても気がつかないかもしれないから」

「うん」

「お風呂から出て、お兄ちゃんの部屋でテレビ見て起きてようと思ったんだけど、気がついたらお兄ちゃんの部屋で寝ちゃってた」

「おまえ、下着しか着てなかったぞ」

「うん。お風呂出て暑かったから」
そこまでは冷静に答えていたあたしだけど、お兄ちゃんの次の質問が耳に入るとあたしは狼狽した。

「・・・・・・俺が帰ったのわかった?」
お兄ちゃんも昨日のことを覚えていて気にしているのだろうか。急に動悸が激しくなった。

「・・・・・・お兄ちゃんが帰って来たの知ってたよ。ベッドに入ってきたのも」
あたしは答えた。

「もしかして起きてた?」
お兄ちゃんはかすれた声で聞き返した。

「・・・・・・うん」

「寝たふりしてたのか」

「だって」
あたしは答えた。あたしはお兄ちゃんに嘘を言ったことはない。

「・・・・・・何か怖かったし恥ずかしかったから」

「そ、その・・・・・・。ああいうのって嫌じゃなかったの?」
やはりお兄ちゃんは昨日あたしの身体を触ったことを覚えているのだ。

「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」
あたしは冷静に答えているように見えたかもしれない。でも心の中は恥ずかしくてパニック状態だった。
それでもあたしはお兄ちゃんに自分の想いを正直に伝えようとした。

「彼氏にはまだ待ってってお願いしてるけど」
あたしは更に踏み込んだ。

「・・・・・・お兄ちゃんだったから」
それはまるで愛の告白のようだ。

「・・・・・・わかんねえ」
お兄ちゃんは理解に苦しむように黙ってしまった。




「ちょっと怖かったけど、別に嫌じゃなかった」
「・・・・・・お兄ちゃんだったから」

あたしはお兄ちゃんに嘘をつくことはないのだ。


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