過去ログ - 妹の手を握るまで
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969:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/01/27(金) 22:18:24.47 ID:qSeizNVEo
それから学園祭までの間、その準備に忙しかったこともあって、あたしは朝早く家を出て帰宅は常に遅かった。
だからというわけではないけれども、あたしは夜お兄ちゃんの部屋に行かなかった。
主に二つの理由で。

一つ目は単純に恥ずかしくてお兄ちゃんの顔が見れなかったから。
あの時、あたしの意思とは全く関係なくあたしは大きな声を出した。お兄ちゃんに体を触られて変な気持ちになって息が荒くなったりはしたことがあったけど、あそこまで大きな声が漏れたのは初めてだった。
お兄ちゃんに初めて剥き出しの肌にキスされあたしの胸は急に熱を帯び、むずむずとして熱くそして気持ちのいい感覚があたしを支配したのだった。
思わず口から出た声は意味を成しておらず「あ」とか「あん」とか繰り返し喘いでていただけ。

お兄ちゃんはあたしのことを変な女だと思っただろうか。こんなに簡単に感じてしまうあたしをはしたない女だと思ったのではないか。
あたしはお兄ちゃんの好意に臆病になっていたから、やっと掴んだこの幸せが壊れるようなことは一つたりともしたくなかったのに。今にして思えば枕を噛んででも声を出すのを我慢すればよかったのだ。

二つ目は先輩との関係。
あたしの思い過ごしでなければお兄ちゃんはあたしに好意があるようだった。今まで考えたこともなかったけどあたしの初恋、絶対に成就しないだろうと諦めていたその恋が実るかもしれない。
あたしは先輩のことが好きだった。いくらお兄ちゃんを忘れるためとはいえ、全く好きでもない人と付き合うはずがない。
校内の女の子が噂する先輩の美点、格好いいところとか運動神経がいいところ、女の子の扱いに慣れているところ。先輩のそういうところは全くあたしの感情を動かさなかった。でも、先輩の意外に気の弱いところ、虚勢を張っても長続きせずすぎに相手の感情を気遣うやさしさ、相手の心を洞察できる繊細な感情、あたしは先輩のそういうところが好きになったのだった。そしてそれはお兄ちゃんの中にあたしが見つけていたものろとほとんど一緒だった。
オタクで恋愛経験のないのお兄ちゃんと真逆のように見える先輩の中に、あたしは初恋の人との共通点を見出し初恋の人の面影を先輩の中で追っていたのだ。

あたしは先輩と付き合っていることをお兄ちゃんには隠していない。先輩と付き合うあたしをお兄ちゃんがどう考えているかもよくわからない。でも、お兄ちゃんと結ばれるかもしれないというかすかな希望があたしの胸の奥に灯った今、あたしは先輩と付き合い続けていいのだろうか。
これはまさに先輩があたしに言ったように「浮気」そのものだった。それも先輩が言っていた精神的浮気の状態でさえもう通り過ぎてしまっていた。


あたしは先輩よりお兄ちゃんのほうが比べ物にならないくらいに大好きだ。そしてそのお兄ちゃんとの関係が深くなっていっている今、先輩とこれまでどおり付き合っていていいのだろうか。
お兄ちゃんには彼女がいない。妹友ちゃんはお兄ちゃんのことが好きなのかもしれないけど、妹友ちゃんはまだお兄ちゃんの彼女ではない。
お兄ちゃんに特定の相手がいない以上、あたしだけ彼氏がいるのは不公平ではないのか。それにあたしと付き合うことは確実に先輩を苦しめている。


どうするか気持ちが固まったわけではなかった。ただあの夜から学園祭までの間、こういうことを繰り返し考えて悩んでいた。そして悩んでいる最中のあたしをお兄ちゃんに見られるのは嫌だった。
そういう訳で学園祭まであたしはお兄ちゃんと夜一緒に寝ることもなくほとんど話もせずに過ごしたのだった。


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