過去ログ - 土御門「忘れたかにゃー、インデックス。オレって実は天邪鬼なんだぜい」
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146: ◆sk/InHcLP.[saga sage]
2012/02/14(火) 04:14:47.87 ID:bswlQR1P0

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目が覚めると、まず全身を覆う不快感に気がついた。その正体を分析しようと目を開くと、水が床を流れているのがすぐに分かった。
どうやら、倒れている自分の身体、というより修道服が水を含んだしまったようだ。この不快感は水が染み込んだ布地のものだった。
次に襲ってきたのは、痛み。それも足を挫いたときのようなズキズキした痛みではなく、身体の内部から全身に広がるような痛みだ。
これは、背中の傷の痛み。しかもただ傷として痛いのではなく、何かが傷口に染み込んだために、内側にまで痛みが響いてくる。


(……そういえば、『彼』はどうなったのでしょうか?)


あの金髪の高校生は。自分に朝食を奢ってくれた少年は。そして…理由も分からないのに、自分を庇って魔術師に立ち向かった男は。
彼が魔法名を名乗った後、傷の影響で少しの間気絶してしまっていたインデックスである。魔術師同士の決着など知る由も無かった。
しかし、比較的難易度の高い魔術をあれほど自在に操る魔術師に対し、彼の方は実力はともかく、もう魔術なんて使えない身なのだ。
どう考えても彼があの魔術師に勝てるはずがない。彼には悪いが、死ぬ気で一発魔術を使ったとしても、勝てる見込みなどないのだ。


(しかし、それでも私は――――)


感謝。言葉は知っていても、このインデックスは実際に感じたことの無い感情だ。今の少女は、あの感受性豊かな彼女ではない。
おそらくあちらは人間に対して感じたことのある感情なのだろうが、このインデックス……『禁書目録』には関係のないモノだった。
でも、それでも今のこの気持ちは、多分そういうことなのだろうと、自己分析する。いや、これが『感謝』というモノに違いない。
胸に秘めたこの気持ちを大事にしようとは思うが、しかし彼女は彼が望むであろう通りに、連中から逃げることは結局出来なかった。
ほら、ちょうど今、インデックスは床から持ち上げられた。絶対にあの魔術師だ。これから私は、どこかの結社に……


「にゃー。血だらけのまま放置してて悪かったぜよ。大丈夫か?」


…にゃー?


「……あ、貴方は…!」

「よう。正義の味方の土御門さんが、悪党を退治して来たぜい」


彼は、息を吐くように嘘をついていた。



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