236: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/22(木) 20:54:12.99 ID:jo4+DSZxo
「もしもし、播磨ですけど」
『あれ? 拳児くん? どうしたんだい』
聞き覚えのある声が耳に入る。
鹿目和久、まどかの父親だ。
『ダレー?』
後ろのほうから聞こえるのは、まどかの弟だろう。
「あの、まど……、娘さん帰ってきてますか?」
『いや、まどかはまだ帰ってないな。いつもなら、もう帰ってきているはずなんだけど』
「……そう、ですか」
『一体どうしたんだい? 何かあったのかい?』
「ああいや、何でも無いッス。最近物騒ですからね。それじゃ」
『ちょっと播磨くん、はり――』
播磨は再び電話を切った。
(まだ帰ってきていやがらねェか)
播磨は少し考える。
駅前のショッピングモールか、その近くの公園にならいるかもしれない。
そう思い、歩き出す。
これまで播磨は、まどかから無理やり話を聞こうとはしなかった。
だがそれは、彼女のことを気遣っていたわけではない。
無理やり聞き出すことで、彼女から嫌われることを恐れていたからだ。
だが今の播磨は違う。
(嫌われても構わねェ。まどかがこの世からいなくなることのほうが、よっぽど嫌だ)
播磨はそう思い、歩みを早めた。
つづく
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