273:年末スペシャル ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/24(土) 18:19:11.57 ID:UqEfXJhDo
プロローグ
その日、如月千早が説明を受けた仕事は、当然彼女が納得できるような内容ではなかった。
「バラエティ?」
それはまだいい。
問題なのはその内容だ。
「あの、お笑い芸人、江頭2:50との共演……」
彼女がバラエティ番組で共演する芸能人、それは数々の伝説を残したあの江頭2:50
との共演である。
「そうだ。社長直々に頼み込んでとった仕事だ。ぜひ、キミにやってもらいたいと」
彼女の前にいる、若い男はそういう。
「そうは言いますけどプロデューサー、この内容、酷くありませんか?」
「え? それは……」
千早の機嫌は悪かった。
なぜならそのバラエティの企画とは、彼女が歌っている後ろで江頭がバックダンサーとして
躍るというものである。
しかも、それが普通の踊りではなく水槽の中で息を止めて踊るのだ。
「こんな企画、歌に対する冒涜です」
「そうは言うがな」
人一倍歌に対してこだわりをもっている千早にとって、このようなおふざけで歌うような企画に
乗れるはずもなかった。
「あの社長が、わざわざ知り合いに頭を下げてまでとってきた仕事なんだぞ。
それをわかってくれよ」
「でも……」
千早もわかっている。
仕事を選んでいては、次のステップにはいけないということくらい。
しかも、あの社長が何の考えもなしに変な仕事を取ってくるはずもない。
「たのむ、千早」
懇願するプロデューサー。
「……わかりました」
千早は、不満を飲み込むようにその仕事を承諾した。
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