309:年末スペシャル ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2011/12/25(日) 20:10:03.20 ID:GEEMDRZko
「ウィッヒッヒッヒッヒ」
「おい、聞いてんのかさわ子」
「いやあ、聞いてますよ。ほんと、拳児くんは純でいいわねえ……。あれ、もうない」
さわ子は五本目のビールを空けてしまった。
「もうねェぞ」
「ええ? せっかく拳児くんのいい話を聞けたのにい」
「おい、言っとくが」
「ん?」
「絶対誰にも言うなよ! 絶対だ」
「はいはい、わかってますよ。私は教師よ。こう見えて口は堅いんですよお。
下の口も堅いから未だにカレシがオヨヨヨヨ〜」
さっきまで笑っていたかと思ったら今度は泣き出すさわ子。
酔っ払いの世話をあきらめた播磨は、自分の部屋に戻るのだった。
*
翌朝、言うまでもなくさわ子は播磨との約束を破る。
「って、ことなんだけど、唯ちゃん覚えてる?」
「ふえ? 何の話ですか?」
放課後の音楽室で、カスタードプリンを食べながら、世間話をしている中で、
さわ子はさりげなく昨夜播磨から聞いた話をしてみた。
「いや、去年の話なんだけど。拳児くんと会ったでしょう?」
「播磨くんとは今年初めて会ったんだよ? 一年のときはクラスも違ったし」
そう言って唯は首をかしげた。
(ああ、拳児くん。かわいそうね)
幸せそうにプリンを食べる唯の顔をみながら、自分の親戚の行く末を憐れむさわ子であった。
つづく
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