481: ◆tUNoJq4Lwk[saga]
2012/01/02(月) 16:24:29.68 ID:pJ/bogyUo
「ああ。たくさん魔法少女を見てきたが、あのタイプの寿命は短い」
「あのタイプって、どのタイプだよ」
「人のために何かしようっていうタイプ。マミのような自己陶酔型ならともかく、
美樹さやかだっけ? ああいうのはすぐに崩壊しちまう」
「マミって、巴マミか」
「そうだよ。アイツ必殺技の名前とか口にするんだぜ。ヒヒヒ」
必殺技に名前を付けることは、播磨もやったことがある。
若さゆえの過ちというものだ。
「そうだな……」
しかし、そんな過去の恥ずかしい思い出は胸の奥にしまって、そのまま話を続けた。
「だろ? まあそれはともかく、人のためっていう動機じゃ長続きしねえ」
「それほど悪い動機じゃねェと思うが」
「他人のため、っていうのは本質的に“誰かから必要とされたい”とか“誰かに評価されたい”って
心理の現れなんだよ。それがないと、辛くなっちまう」
「お前ェはどうなんだよ」
「アタシ? アタシは、人間に対して期待なんかしてないよ」
「……」
「人のためじゃなくて自分のため。ただそれだけで続けてきた」
「お前ェ、それって……」
「じゃあな、ハリマ」
「おい」
「おりゃ!」
杏子はたこ焼きの入っていた容器をヒョイと投げる。するとそれは、見事にクズ籠の中に
飛び込んでいった。
(自分のためだけに生きる……)
それはそれで、辛いものがあるんじゃないか、と播磨は言おうとしたが、
すでに杏子の姿は見えなくなっていた。
つづく
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