過去ログ - 女勇者「頼む、仲間になってくれ!」黒騎士「報酬はいか程で?」
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◆ItNEKgTFQ.
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2011/12/18(日) 00:08:39.26 ID:nsZ6oyxR0
この黒い霧は通常の、自然現象の霧では無い。
息が詰まる程の粘質と、肩に重みを感じる程の冷たい湿気を纏い、
これに包まれる者の全身に絡み付き、その目を塞いでしまうのだ。
もはや、目の前すら満足に見えない、完全なる闇である。
『聖堂騎士団』の全ての戦士は、その両眼を潰されたも同然であった。
そして、戦士達は、『声』を聞いた。
――ウォォォォォォォォォォォォォォォッ!!
――ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!
――ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
怒号が、鬨の声が、鼓膜を揺らし、肉体を戦慄かせ、大地すら微かに振動させる雄叫びが響いた。
魔王軍の軍勢が上げるウォークライであり、続けて、彼らが『長城』へと向けて一斉に走り始めたのだ。
ウォークライに合わせて地響きが起きる。
余りの大軍勢の一斉移動に、本当に大地が揺れているのだ。
――『聖堂騎士団』の精鋭たちが、まさかの恐慌状態に陥った。
騎士「放て!!放て放て!!」
各部署を護る騎士達の号令に従い、弩兵達が次々とボルトを発射する。
しかし、霧により視界を塞がれ、オマケに恐慌状態に陥った弩兵達の撃つ矢は、余りにあてずっぽうで、
当然狙いなどと言うモノはなく、当たったかどうかの確認すら出来ない。
加えて、機械仕掛けのクロスボウ故に、こう暗くては次の矢の装填すら出来なかった。
弩兵の中に混ざった弓兵達は、闇の中にあっても尚、何度となく繰り返された訓練に従って、
矢筒の中の矢を番え、撃ち続ける。
しかしそれもまた、迫りくる魔軍を止める事は出来ない。
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