過去ログ - 月火「火憐ちゃんも、お兄ちゃんのことどうこう言えないよね」
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6: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:00:18.59 ID:myjtRBn70
 002.

 後日談というか、今回のオチというか、そこに至るまでのあれこれ。
翌日、いつものように火憐と月火に起こされる――という語り口は、誠に遺憾ながら使えなくなって久しいのが現状だったりする。
何のことはない、目覚めのタイミングがばらばらになってしまったというだけのことなんだけど。
以下略



7: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:02:25.54 ID:myjtRBn70
 体は起こさず、視線だけを胸元にやってみる。
予想通りと言うべきか、あるいは予定通りと言うべきなのか、小さい方の妹である月火が、僕の胸にその頭を押しつけるようにして眠りこけていた。
そこだけ切り取って見ればどうだろう、可愛い妹にべったり懐かれているという微笑ましい光景になるのかもしれないけれど、しかしそれは残念ながら事実とは異なる。
何しろ目を覚ます原因となった苦痛は、まさにその月火の頭によってもたらされているのだから。
どんな夢を見ているのか、時々ぐりぐりごりごりその額を擦りつけてきていて、正直ちょっと痛いのだ。
以下略



8: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:06:30.99 ID:myjtRBn70
 閑話休題。
とにもかくにも残念極まりないことに、僕がこいつらと一緒に寝るようになって久しい。
その期間は丁度、冒頭で述べたような語り口が使えなくなってからのそれとほぼ一致している。
つまり端的に言うと、僕と一緒に寝るようになってから、こいつらの寝起きははっきりと悪化しているということだ。
もしくは、僕の睡眠環境が悪化しているという風に見ることもできるだろうか。
以下略



9: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:09:34.74 ID:myjtRBn70
 いやでも冷静に考えれば、人間の平熱と言えば36度くらいなわけで、そんな熱源とぴったりくっついて布団にこもっていれば、それは冬だって結構厳しいのではないかと思うのだ。
かてて加えて現在のこの気温の高さである。
普通の人間ならば、やはり暑さに耐えかねるのが自然なあり方だろう。

 うーん、だとすると例えば戦場ヶ原と同衾するような事があっても、こんな風に暑苦しさと不快感に見舞われることになるのか?
以下略



10: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:14:02.25 ID:myjtRBn70
 何がスイッチになったのかは分からないけれど、もそもそと動く気配がすると同時に、火憐の声が聞こえてきた。
どこか間延びした響きがあるのは、寝惚け半分だからだろうか。
それはさておき、僕の思考を読み取って起きるんじゃない。野生動物か、お前は。

「野生の感覚っつーか、あれだ、女の直感って奴だぜ」
以下略



11: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:18:21.65 ID:myjtRBn70
 言うが早いか、その場で足を上げ、くるっと後方に回転して立ち上がる火憐。
いやしかし、とても寝起きとは思えない鋭敏な動作だ、いつものことながら。
何ていうか本当に野性味を感じさせるよなあ、こいつ、寝起きでもすぐに体を動かせるって。
頭の方が活動できていない辺りは残念極まりないけど。

以下略



12: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:23:49.31 ID:myjtRBn70
 自分を基準に物事考えるんじゃないと言うんだ。
何でわざわざ妹を抱きしめて暑さに耐えながら眠らなきゃならないのか。
というか寝れやしねえよ、そんなの。
社会的な観点から考えれば、むしろ永眠させられかねないけれど。

以下略



13: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:28:30.95 ID:myjtRBn70
「だけどさあ、ほら見てみろよ兄ちゃん、月火ちゃんのこの顔。緩んでるよ。緩みきっちゃってるよ。たれぱんだも土下座して謝るレベルだぜ、これ」
「たれぱんだに土下座されても分かんねえよ。区別つかないだろ、普段と」
「心眼開けば余裕さ」
「まず心眼開くのが余裕じゃねえよ。つーか心眼開いてまでたれぱんだなんぞ見たかねえよ。もうブームも去って久しいだろ、あんなの」
「バカ兄貴!」
以下略



14: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:33:25.54 ID:myjtRBn70
「たれぱんだを馬鹿にするんじゃねえ! みんな一生懸命やってんだぞ!」
「何でお前がたれぱんだの立ち位置で文句言ってんだよ。どうでもいいだろ、そんなこと。向こうも商売なんだし」
「どうでもいいって何だ! 言っていいことと言わなきゃ駄目なことがあるぞ!」
「結局全部言っていいんじゃねえか」
「あれ?」
以下略



15: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:36:41.47 ID:myjtRBn70
「しかし月火ちゃん起きないな、こんだけ騒いでんのに」
「うん、ちょっと珍しいよな、元々寝つきはいい方だけどさ」
「そうだな。とりあえず僕的には大人しく寝ててくれてるから、その点は助かるけどな」
「あー、昨日は酷かったもんな。兄ちゃんの悲鳴で目を覚まして何事かと思ったら、月火ちゃんと兄ちゃんがこんがらがってたしさ。ちょっと衝撃的だったぜ」
「あれは痛かった。滅茶苦茶な絡まり方してるように見えて、その実すげえ的確に腕とか足とかの関節極められてたし」
以下略



16: ◆/op1LdelRE[saga]
2011/12/18(日) 23:40:44.93 ID:myjtRBn70
 いいのかよ、と突っ込みを入れたかったけど、それは色々と致命的なので止めておく。
突っ込みを入れるまでもなく、既に致命というか絶命って感じがしないでもないけど。
その辺は寝起きという点を考慮して、大目に見てもらえれば喜ばしい。

「とにかくそろそろ月火ちゃんを起こしてやろうぜ。時間的にもいい頃合いだろ」
以下略



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