5:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/22(木) 02:31:18.31 ID:se/IE0uI0
「それにしても」
突然、場にそぐわぬ馬鹿に明るい声色で、先客――――少女は言った。
「……また予定の時間よりもだいぶ早いわね。ねえ、どういう風の吹き回し?」
「予定に遅れねえのは、人付き合いの基本らしいからな」
くつ、と喉の奥を鳴らす音。何かを思い出したような笑いを漏らして、少年が少女と対面のソファに身を預けた。
ドカリと勢いつけて座った事で、悪い意味で骨董品じみたソファからもうもうと埃が舞い飛ぶ。
埃が鼻をくすぐったのだろう、少女はくしゃみしながら手と、握っている文庫本をぱたつかせた。
その原因をまき散らした当の本人は素知らぬ顔でひざを組み、飄々とした表情を崩さず座ったままだ。
不思議な事に、そう安くもなさそうな服に舞った埃がつもったような様子はない。
「再会したてにしては随分なご挨拶じゃないの」
目尻に浮かんだ涙を取り出したハンカチで拭いながら、カジュアルなファッションに身を包んだ金髪の少女――――昔は、ドレスを好んで着ていた少女――――がじとりと粘着質な視線を向けるが
「言ってな」
対する少年は気にかける様子もなく鼻を鳴らす。
だが浮かんだ笑みは、言葉ほどつっけんどんなものでもなかった。
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