過去ログ - マミ「杏子……」
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28:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:40:51.44 ID:c4Axoe8J0
 あの日の屋上。

 マミは、別れ際にあきから一冊のノートを受け取った。

「イタリア語の初歩的な文法について、自分なりにまとめてみたの。その辺で売ってる参考書より、きっと分かりやすいと思うんだ。だからこれでマミも勉強してみて」

「でも、いいの?ノートがなかったら、あきが困るんじゃないの」

「大丈夫だよ。私はもう基礎のところは頭に入ってるし、それに……」

 あきがそこまで言ったとき、可愛らしい電子音が鳴った。

「あら?」

「!あ、ごめんマミ、ちょっと待ってて」

 そう言うとあきは後ろを向いて携帯をいじり始めた。

 どうやらメールが着信したらしい。

 マミはそっとあきの横顔をのぞき込んだ。

 驚きと喜びの入り交じった表情で、あきは懸命に返信メールを打っている。

(そういうこと……か)

 マミは胸の奥の方からわき起こりそうになる寂しさをどうにか押し隠して、わざとらしいほどに明るくあきの携帯をのぞき込んだ。

「どうしたの?いったい誰からのメール?」

「わ!ダメだよ恥ずかしい」

 滑稽なほどに取り乱したあきが、あわてて携帯を隠そうとする。

 その僅かな一瞬に、男子生徒と二人並んで写った写真が待受に設定されているのがマミには見えた。

「あら?その写真は誰なのかしら?」

「もう、マミったら……!」

 そう言うとあきは俯いてしまった。

 どうやら本当に恥ずかしがっているらしい。



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