33:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[sage saga]
2011/12/23(金) 02:46:11.33 ID:c4Axoe8J0
不意打ちこそ食らいかけたものの、一太刀交えた感じでは、さほど強力な魔女ではないようだった。
だからこそ、一気に屠り去ってしまおうと畳みかけたのだが、魔女の方も形勢の不利を敏感に感じ取ったらしい。
「はぁ、全くやってらんねーっての。ムダ足踏ませんじゃねーよ、雑魚が」
そう毒づきながら立ち去ろうとした杏子は、足下で倒れているOLの存在を思い出した。
(あ、そうだった)
どうしたものか思案しながら杏子は辺りを見回す。
(別に、このまま放置しても大丈夫っしょ。凍え死ぬ、って季節でもないしねー)
その時、OLの右手に何かが握られているのが目に入った。
(……?)
それは、赤く錆び付いたカッターナイフだった。
(!そうか。こいつ、これで手首を切るつもりだったんだな)
杏子が後ろから声をかけたとき、OLはかがみこんだまま自分の左手首をじっと見つめていたのを思い出した。
(間一髪だった、ってことか。それにしても……)
気を失ったままのOLの手からナイフをもぎ取ってから、杏子は記憶の糸を手繰る。
(この前、巴マミが探してた魔女のやり口ってのも、確か、理由もなく手首を……)
その時、遠くの方から車のエンジン音が聞こえてきた。
人が来る前にこの場を立ち去らなくてはならない、と杏子は思った。
(……どっちだ?)
杏子は指輪をかざし、魔女の逃げた方向を探る。
2、3秒の間杏子は目を閉じていたが、やがて小さく舌打ちした。
「……ちっ」
暗い地下駐車場の片隅で、杏子は声に出して呟く。
「まったく、めんどくせーことになってきやがったな」
ソウルジェムは、見滝原の市街地の方を指し示していた。
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