過去ログ - とある神父と禁書目録
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116:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/29(木) 22:44:22.62 ID:Tke7n+/c0


「イギリス清教最大主教、Index-Librorum-Prohibitorumよ」


帯びた傲慢の色を瞬時に器用に慈愛に塗り替えて、声の主は骸を挟んでインデックスの
さし向かいに姿を現した。
立ち位置が、男と女の二度と埋まらない距離を示唆しているかのようだった。
緑髪をオールバックに流した、オーダーメイドのイタリアンスーツを見事に着こなす男。
唐突に声を掛けられて、インデックスは激しく全身を震わせた。

彼は、『禁書目録』と関わりを持ったがゆえに破滅した男だった。
そして同時にインデックスが、ステイルに“こう”はなってほしくないと最悪の未来予想図に
当てはめた男でもあった。
それは今にしてみれば、なんと彼の人生を虚仮にした仮想なのだろうか。
己が手で不幸にしてしまった人に対して、思慮などみじんもない発想ではないか。
彼――――アウレオルス=イザードの気持ちなど、一瞬たりとも考えていないではないか。


「ごめんなさい、ごめんなさい……私、私は、いま」


形容しがたい罪悪感が心臓を苛む。


「ステイルのことしか、考えられないの。あなたのことを、思い出そうとも思えないの」


こうしてアウレオルスを目の前にしてなお、自分はステイルの生死にしか涙を流せない。
何よりインデックスが心苦しいのは、己が内に棲まう利己的で堕落しきったた女の実在を、
どうしても否定できないからだった。




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