13:>>1 ◆weh0ormOQI[saga]
2011/12/25(日) 22:45:44.30 ID:21JsyUv70
青年は女神の降臨をも映し出したスクリーンに一瞬目線をやって、首を振った。
延々と魔術師と魔神の激闘を上映していた銀幕に、微細なヒビが無数に入っていた。
「このシステムは、わずかな衝撃にも動作不良を起こすと聞いている。ロンドンでは
これからいままで以上の異変が起こるだろう。万一のことがあればこのユニットに
接続している君の人格が消滅してしまう」
「そんなことは分かっているッ!! それでも、それでも私はあの男に、アレイスターに」
青年は悲しげに目を細めてもう一度かぶりを振った。
肩に添えられた手に、痛いほどの力が加えられた。
背後から、アレイスターの生気の失せきった声が耳朶を打った。
「有意義な……いや、楽しい時間だった。機会があれば、またいつか会おう」
「お黙りなさい! 貴様にはまだまだやるべきことがある! インデックスとステイルの
前で跪いて、断罪を請わなければならないと、そう言ったでしょう!」
「ローラ、一刻を争う事態なのだ!」
「離して、離しなさい」
青年の膂力に引きずられるように、父の姿が不自然に遠ざかる。
マスターシステムを奪い返されたのだとようやく気が付いた。
同時に全身を襲う虚脱感。
これもおそらくはアレイスターの仕業だ。
すぐさま膝裏に手を回されて抱き上げられた。
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