368:>>1 ◆eu7WYD9S2g[saga]
2012/02/26(日) 21:58:25.14 ID:GFjxftzi0
舌を打つ。
いつ何時でもそうだったが、やはりこの女と言葉を交わしていると心がささくれだつ。
「それで? 僕らを祝福するためだけに、はるばるロンドンに帰ってきてくださったんですか」
「……そうねぇ。結果的には、それしかできないことになってしまったわ」
「なに?」
「本当はね、ステイル。私は今日、『彼』をこの式場に引っ張ってくるつもりだったのよ」
「彼? …………まさか」
「ええ。私とインデックスの、『お父様』よ」
アレイスター=クロウリー。
ステイルはほとんど叫びそうになって、自分が置かれた状況を思い出した。
反射的に口許を手で覆ったのは冷静な判断である、我が事ながら褒めてやりたい。
それほどまでに、激しい驚愕に脳を揺さぶられていた。
「見つけたんですか、奴を……!」
「ええ」
「いったいどこに!」
抑えたくとも抑えきれない昂りが、語勢の端に現れる。
ローラはそれを手を上げて諌めると、小さく首を横に振った。
「私の掴んだ真実のすべてを語るには、場所も時もよろしくない。いま確かなことはただ一つ。私はあの男の姿を捉えたが、捕えることまではできなかった。それだけが、真実よ」
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