過去ログ - スライム「最強になるのですよ！」
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2012/01/15(日) 01:59:04.46 ID:5YIgxhFj0
サキュバス「エルフの村が人間によって狩られ、捕らえられたエルフたちは奴隷市場に流されたっていうことは噂に聞いていたわ…私はそのとき魔王軍の幹部だったから動けなかったんだけれど……エルちゃんは恐らくその時に村から逃げ出して生き残って……私が魔王軍を抜けたあとに…」
エルフ「そうだ……僕は人間に復讐したくて魔王に力を貰いに行ったんだ……それで力と一緒に邪悪な心を植え付けられて……僕は……僕はなんて事をしてしまったんだぁぁああ！！！あぁあぁああああああああ！！！！！！！！」
勇者「……」
僧侶「うぅ……」
スライム「悲しいですよー……なんでこんなことが起きるですよー…」ｸﾞｽｯ
コドラン「ふぇぇぇえん…ﾋｯｸ……ｸﾞｽｯ」
奴隷「一概にどっちが悪いとも言えねぇんだよな。人間も魔族も……どっちにも善い奴はいるし、糞みたいな連中だって存在する……やるせねぇなぁ…」
サキュバス「力で支配してはずっと同じことを繰り返すだけよ…！！勇者さんは……あなたを助けたよ！一度切って…それでも傷をつけることの意味を考えた！！エルちゃんも辛いとは思うけど……本当に悔しいだろうけど……戦わないで済む道はきっとあるの！！だから…もう……力なんかに頼らないで優しいままでいてよ……うわぁぁああああん！！！」ﾋｯｸﾋｯｸ
エルフ「みんなごめん………ﾋｯｸﾋｯｸ……僕は馬鹿だった……こんなに他種族との共存を考えてくれる人がいるのに……復讐に飲み込まれるなんて……」
エルフ「みなさん……ごめんなさい！！本当に……ありがとう」ﾆｺｯ
エルフはようやく悪から解き放たれて、純粋な笑顔を取り戻した。それはそれは世界中のすべての優しさを受け取ったような、眩しい眩しい笑みだった。
人間は魔物や魔王が絶対悪と教えられてきたが、人間も魔物と同じくらい卑しく残酷で欲望にまみれていて、そして心の奥底にどうしても消してしまえない優しさを持っている。それは環境だったり情報だったりで一瞬にして歪んで間違った方向へ向かってしまうけれど。それでもきっと守りたいモノを持っているのは魔物も人間も皆同じだ。その優しさを向ける方向を、誰もが理不尽な環境やテキトーで溢れすぎてしまっている情報に惑わされ優しさを捨てないで済む方法を…
心が壊れてしまいそうな人も、お金に悩まされる人生を負う人も、親が糞みたいな性格だった人も、いじめられている人も、日々理不尽なモノを押し付けられている人も、不条理な環境にいる人も、死にたい人も、死にそうな人も、もう全てが手に負えないと思っている人も、夢を壊されそうな人も、何もない人も、明日で死んでしまうかもしれない人も
無謀にも、全ての人が、正しい優しさを向けられる世界を作りたい、と勇者は心に誓ったのだった。
今日はこの辺で終わります。続きはまたあす以降で！
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