283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage saga]
2012/01/09(月) 22:49:02.12 ID:HSNU4VB3o
「ううん、違う」
せめて声は力強く。
わたしは確信と共に、その言葉を口にする。
心の奥底に、ほんの僅かな火が灯って、光っている。
突っ伏した顔を起こし、上体を起こし、ふらふらの体で立ち上がる。
「わたしのかなえてもらった願いは、『なくしてしまった記憶を取り戻すこと』じゃない」
「確かにそれはわたしの願いだった、けど」
かなえられたわたしの願い。
失った記憶を蘇らせること、だとしたら。
全部の記憶が一度に蘇って、わたしの心は折れてしまっていたのではないだろうか。
わたしが取り戻したのは、記憶のほんのひとかけら。
わたしの弱い心が、ほんの少しの支えに助けられて耐えられる、ギリギリのひとかけら。
そんなに都合よく、耐えられる程度に蘇らせてくれるものだろうか。
わたしの記憶が強い力で封じられていたから、本当にそうなのだろうか。
小さな火は消えそうになりながら、それでもわたしの体に熱を与えている。
そのまま続けなさいと、そう言っているようで。
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