過去ログ - オーフェン「クリスマスぅ……?」
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1:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:20:51.57 ID:Xa2Y3PMdo
キエサルヒマ大陸に四季はない。
いや、そう言いきってしまうと多少の語弊が生じるだろうか。大陸には明確にその概念が存在するからだ。
正確には、四季を実感できる程の気候的変化に乏しいと言うのが適切だろう。
うだるように暑くなることも凍えるほど冷えることもない。場所にもよるが、その気になれば一年を通して同じ格好で過ごすこともできる。
もちろん極寒の地マスマテュリアといった例外はあるものの、大陸全体がそんなものだった。
だから、というわけでもなかったが、彼はいつもの格好でいつもの安宿のテーブルに、いつものように突っ伏していた。
黒髪に黒目、季節は一応冬だが半袖の黒シャツに黒いジャケットの黒ずくめ。
胸元には剣に巻きつく一本足のドラゴンをかたどった紋章が揺れており、彼がいわゆる一般人ではないことを示している。
魔術士。しかも≪牙の塔≫と呼ばれる大陸黒魔術の最高峰で学んだ者の証。力ある者の象徴。
だが、そんなペンダントと裏腹に、彼――オーフェンには活力の片鱗すら見えなかった。
「死ぬ……」
2:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:22:33.49 ID:Xa2Y3PMdo
確か、とぼんやりオーフェンは記憶を探った。最後に食事を取ったのが三日前の夜だった気がする。あれから何も口にしていない。
内臓は既に抗議の声すらなく静かに沈黙していた。
人間はどれくらい食べなかったら死ぬのだったか。朦朧とする頭では思い出せなかった。
ただ、明日死にますよと言われても問題なく信じることができそうなほどには衰弱していることは分かる。
3:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:27:22.78 ID:Xa2Y3PMdo
「と言われても……」
言って、マジクはしばらく間をはさんだ。
4:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:31:31.98 ID:Xa2Y3PMdo
マジクは苦笑して続けた。
「実はですね、こっちも余裕がないんですよ」
「は?」
5:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:35:54.17 ID:Xa2Y3PMdo
「オーフェーン!」
どばたん!
唐突に上がる女の声の後、宿の扉が勢いよく開いた。
6:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)[saga]
2011/12/30(金) 20:37:29.01 ID:Xa2Y3PMdo
見測ったようなタイミングでテーブルに皿を置いたマジクは、不思議そうにコンスタンスに目をやった。
「それにしても珍しいですねコギーさん。お仕事のためとはいえオーフェンさんに驕るなんて」
「まあそういう日もあるわよ。それでね、今回の仕事はね」
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